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乳がんを先進医療で切らずに治す

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現在、乳房をほとんど切らずに乳がんを治療できる方法が研究されています。メスを使って切開しないため、乳房に傷がつかず、ほとんど変形がありません。また、入院期間が短いというメリットもあります。

ただし、これらの治療は、まだ臨床試験の段階にあります。効果やどのような副作用があるかがはっきりしていない状態にあることをよく理解した上で、医師から十分な説明を受けてから、治療を受けるかどうかを検討しましょう。

切らずに乳がんを治す治療法

「ラジオ波熱焼灼療法」って、どんな治療法?

乳房にメスを入れることがないため、乳房の変形が最小限で済みます。 全身麻酔を行った後、乳がんの部分に電極針を刺し、針からラジオ波と呼ばれる高周波電流を流すと熱が発生します。この熱によって乳がんを壊死させます。

電極針は乳房の皮膚の上から刺します。そして、針が乳がんの中心部分を通り、針先が乳がんから5mmはみ出すようにセットします。これを正確に行うため、エコーの画像をチェックしながら針を刺していきます。

乳房部分切除術と比較したときのメリットとデメリット

適応(この治療を行える条件)

・がんの大きさが1.5cm以下
・わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)に転移がない
・遠隔転移(乳房から離れた臓器への転移)がない
・以前に乳がんの治療をしていない
ほかにも乳がんのタイプなどについて、いくつかの条件があります。

治療の流れ

1.手術当日
まず「センチネルリンパ節生検」を行い、リンパ節に転移がないかを確認します。引き続いて「ラジオ波熱焼灼療法」を行います。

2.手術後3~4週間後
放射線治療を行います。 焼き切った部分以外に乳がんがある可能性があるため、予防的に「ラジオ波熱焼灼療法」を行った側の乳房全体に放射線を照射します(乳房部分切除後の放射線療法と同様です)

3.放射線治療終了から3カ月後
針生検とMRI検査でがん細胞が残っていないかを確認します。もしも、がん細胞が残っていることが確認された場合は、乳房部分切除を行います。

4.手術1年後以降
6カ月ごとに超音波検査などの定期検査を行います。

治療を受けられる可能性を広げる 「患者申出療養制度」とは?

「ラジオ波熱焼灼療法」は、2013年に先進医療制度としての実施を承認され臨床試験がスタートしました。しかし、2017年に予定数の患者登録が終了したため、その後は、先進医療制度を活用して治療を受けることができなくなりました。

先進医療は保険診療ではないため、費用は自費負担となります。また高額療養支給も受けられません。ただし先進医療以外の部分(検査費、入院費など)は、保険診療となるため、その分だけ負担が軽くなります。しかし、先進医療制度を活用できなくなった2017年以降は、「ラジオ波熱焼灼療法」を受けるためには、すべて自費で支払うしか方法がありませんでした。

この状態を改善するために新たな臨床研究が計画され、2019年3月から、拡大先進医療としての患者申出療養での実施が承認されました。

患者申出療養制度は、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるために作られました。先進的な医療について、患者さんの申出があった場合、安全性・有効性などを確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられることを目指しています。

この制度を受けるためには、まず主治医との相談が必要になります

「ラジオ波熱焼灼療法」に関して患者申出療養を実施している医療機関は以下の通りです。
(2019年8月現在)

国立がん研究センター中央病院
国立がん研究センター東病院
東京医療センター
がん・感染症センター駒込病院
北海道がんセンター
群馬県立がんセンター
千葉県がんセンター
新潟県立がんセンター新潟病院
岐阜大学医学部付属病院
岡山大学医学部付属病院
広島市立広島市民病院
四国がんセンター
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