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「守村肇さんの上咽頭がん闘病記:白い眼鏡と筋トレで未来を描く」LA Butterflyまとめ

守村肇さんの上咽頭がん闘病記。23歳でステージ4と診断された彼が、白い眼鏡と筋トレを支えに闘病を乗り越え、内定を獲得。生きる力を伝える物語。

LA Butterflyとは:

LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。

守村肇さん闘病まとめ:

上咽頭がん 闘病記:守村肇さんは、23歳の若さで上咽頭がんと診断され、ステージ4の過酷な闘病を経験しました。北海道出身の大学院生である彼は、筋トレやピアノ、温泉巡りなど多趣味な一面を持ち、白い眼鏡を愛用する個性的なキャラクターです。診断までの長い模索、頭蓋骨を溶かすがんとの闘い、そして就職活動での葛藤を乗り越え、内定を獲得。現在はリハビリに励み、未来に向けて前進しています。この記事では、彼の上咽頭がん闘病記を通じて、生きることの尊さや自分らしさを見つける過程を深掘りします。

上咽頭がん闘病記で発見した自分らしさ:

守村肇さんの上咽頭がん闘病記は、単なる病との闘いにとどまらず、自分自身を見つめ直し、夢を再構築する旅でもありました。北海道の広大な自然の中で育ち、筋トレやピアノ、温泉巡りといった趣味に没頭してきた彼。白い眼鏡をトレードマークに、普段はカジュアルに、真面目な場面では黒い眼鏡でメリハリをつけるそのスタイルは、彼のユニークな個性を象徴しています。

上咽頭がんの診断は、23歳という若さで突然訪れました。大学院での生態学研究に打ち込んでいた彼にとって、鼻の奥から出てくる「白くて固い鼻水」や飲み込みの困難さは、研究どころか日常生活すら脅かすものでした。さまざまな病院を巡り、原因不明のまま体調が悪化する中で、彼は自分と向き合う時間を余儀なくされます。この過程で、彼は「生きていること自体がすごい」と気づき、どんな状況でも自分らしさを失わないことの大切さを学びました。

闘病中、特に印象的だったのは、彼のストイックな姿勢です。放射線治療で喉が腫れ、唾液で「溺れる」ほどの苦しみを味わいながらも、治療の終わりを信じて耐え抜きました。退院後は筋トレを再開し、毎日散歩を続けることで体を回復。270日以上続く散歩の習慣は、彼の不屈の精神を物語ります。筋トレは単なる趣味を超え、彼にとって「自分を取り戻す」手段であり、未来への希望を象徴する行為でした。

夢についても、彼は大きく変化しました。当初は研究を続け、大学院卒業後に企業に就職する計画でしたが、上咽頭がんの経験は人生設計を見直すきっかけに。通院が必要な基礎疾患を抱える中、病院近くでの生活や社会貢献度の高い仕事に目を向けるようになります。医療従事者の姿に感銘を受け、地域社会に必要な仕事を目指す彼の姿勢は、闘病を通じて芽生えた新たな夢と言えるでしょう。内定獲得後、彼は「社会復帰に向けて具体的に動き出している」と語り、バイトやリハビリを通じて一歩ずつ未来を描いています。

この上咽頭がん闘病記は、守村さんが自分らしさを見失わず、どんな逆境でも前を向く力を示しています。白い眼鏡をかけた彼の笑顔は、希望の象徴そのものです。

前向きで力を与える発言や考え:

  • 「生きているだけで幸せ」:「上咽頭がんになって、隣の患者さんが亡くなったり、20%の確率で死ぬかもしれない状況を経験して、生きているって本当にすごいことだと思うんです。」
  • 「筋トレは自分を取り戻す」:「体がぼろぼろでも、筋トレを始めると自分らしさが戻ってくる気がして、絶対に諦めないで続けようと思うんです。」
  • 「病名が分かった安心感」:「原因不明で苦しむより、上咽頭がんという名前がついて治療の道が見えたとき、かすかな光が見えたと思うんです。」
  • 「社会復帰は刺激的」:「病院のベッドから動けなかった日々に比べ、就職活動で人と話すのは楽しくて、社会に戻れるんだと思うんです。」

(がんノート)

守村肇さんの闘病記録:

診断までの経緯

  • 初期症状:2019年、22歳の時に「白くて固い鼻水」が頻発。鼻をかむと「ぶにぶにしたもの」が出て、鼻の奥に異物感。
  • 病院巡り:耳鼻科や内科を複数受診したが、原因不明。疲れやストレスと診断されるも、症状悪化。
  • 飲み込み困難:喉が細くなり、食事や水分摂取が困難に。首の痛みや持続的な発熱(37.4℃)が続き、日常生活が困難に。
  • 最終診断:大型病院でCT検査を受け、頭蓋骨右側に異常な穴を発見。細胞検査で上咽頭がん(ステージ4)と判明。がんが頭蓋骨を溶かし、脳への影響が懸念される状態。

治療の詳細

  • 開頭手術
    • 目的:右鼻奥にできたがんが右脳の血管近くに広がり、放射線治療前に血管を保護する必要があった。
    • 内容:世界で7例目の珍しいバイパス手術。右腕から血管を取り、頭蓋骨を切り開いて右脳に新たな血流経路を構築。次に、カテーテルでがん近くの血管を塞ぐ。
    • 期間:2日間(1日目:8時間の全身麻酔でバイパス構築、2日目:血管閉塞手術)。
  • 薬物療法
    • 使用薬剤:セタキセル、シスプラチン、5-FUの抗がん剤を投与。
    • 副作用:脱毛、吐き気、食欲不振。腎臓や膀胱への負担を軽減するため、毎日2リットルの水摂取と体重管理が必須。
    • 効果:治療開始時は「本格的な治療が始まった」と前向きだったが、後半は副作用で体力的につらい時期も。
  • 放射線治療
    • 回数・期間:全35回、約1.5カ月間(総線量70グレイ)。
    • 副作用:喉の腫れ、唾液分泌停止、ドロドロの唾液による「溺れる」感覚。胃酸による喉の焼ける痛み、2カ月間の固形物摂取不能。
    • 対処:点滴栄養とミキサー食で対応。治療終了後2週間は後遺症が続き、回復に約2~3カ月。

上咽頭がんの詳細な説明

上咽頭がんは、鼻腔の奥と喉の間の上咽頭(鼻咽頭)に発生する悪性腫瘍です。主に扁平上皮がんが多く、喫煙や飲酒、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染がリスク要因とされますが、守村さんのように若年層での発症はまれです。症状は鼻づまり、鼻血、耳鳴り、首のリンパ節腫脹、飲み込み困難など多岐にわたり、初期は風邪と間違えられやすい特徴があります。

特徴と進行

  • 部位:上咽頭は鼻の奥にあり、頭蓋骨基底や脳神経に近いため、進行すると重篤な影響を及ぼす。
  • ステージ4:守村さんの場合、がんが頭蓋骨を溶かし、他の器官に影響を与える状態。転移がなくても局所の侵襲性がステージ4の基準。
  • 診断の難しさ:初期症状が非特異的で、CTやMRI、組織生検が必要。守村さんのように複数病院を巡るケースも多い。

治療の概要

  • 標準治療:放射線療法と化学療法の併用が一般的。手術は部位の複雑さから限定的。
  • 予後:早期発見で治癒率は高いが、ステージ4では生存率が低下(5年生存率約30~50%)。

参照情報

  1. 国立がん研究センター
  2. 日本頭頸部外科学会
  3. Cancer.Net(ASCO)