新宮知歩さんの慢性骨髄性白血病 闘病記。17歳で告知、移植を乗り越え、ホークス愛と薬学部への夢を追い続ける物語。闘病の葛藤と希望を紹介します。
LA Butterflyとは:
LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。
新宮知歩さん闘病まとめ:
慢性骨髄性白血病 闘病記:新宮知歩さんは、慢性骨髄性白血病を17歳で告知され、薬物療法、放射線治療、造血幹細胞移植を経験した福岡県出身の薬学部大学生です。野球観戦や読書、アニメを愛し、特にホークスファンとして知られる彼女は、闘病を通じて自分らしさを見つけ、夢を追い続けました。スイミングから放送部、そして大学合格まで、困難を乗り越えた前向きな姿勢が印象的です。
慢性骨髄性白血病 闘病記で見つけた自分らしさと夢:
新宮知歩さんの慢性骨髄性白血病 闘病記は、単なる病気との闘いを超え、自分らしさや新たな夢を発見する旅でもありました。福岡県で生まれ育ち、幼少期はスイミングに情熱を注いだ彼女。小学生時代は水泳教室に通い、タイムを縮めることに夢中でした。しかし、中学・高校と進むにつれ、疲れやすさが目立つようになり、競泳を断念。心が折れた瞬間も、彼女は新たな一歩を踏み出しました。高校では放送部に興味本位で入り、全国大会出場を決めるほどの成果を上げます。この行動力は、慢性骨髄性白血病の告知を受けた後も変わりませんでした。
17歳で告知された慢性骨髄性白血病は、彼女の人生を大きく揺さぶりました。骨髄穿刺の痛み、移植宣告、治療の副作用――どれも過酷な試練でしたが、新宮さんは「夢を折られても新しい夢を見つける」と語ります。例えば、放送部の全国大会を移植のために諦めたとき、彼女は薬学部への進学という新たな目標を見つけました。薬学部を選んだ理由は、自身が飲む薬の作用機序を知りたいという好奇心。闘病中、髪の毛が抜けた経験から「美容室できれいにしてもらう」という小さな夢も持ち、それが叶ったときは大きな喜びでした。
慢性骨髄性白血病の闘病を通じて、彼女は自分らしさを再定義しました。ホークス愛は地元福岡の誇りであり、読書では『アンサングシンデレラ』や『マカン・マラン』から心の癒やしを得ました。アニメも彼女の心の支えで、物語を通じて感情を整理できたといいます。こうした趣味は、闘病の辛さを乗り越える力になりました。
彼女のペイシェントジャーニーは、感情の起伏を映し出します。小学生の水泳少女時代は高揚感に満ちていましたが、疲労感や競泳断念で下降。告知や移植宣告でさらに落ち込み、治療の副作用で「人生のどん底」を経験しました。それでも、退院や高校復帰、薬学部合格で再び上昇。浪人生活では学力不足に悩みながらも、諦めずに努力を重ねました。この過程で、彼女は「努力で変えられないことを受け入れる強さ」を学び、可能性を広げました。
新宮さんの自分らしさは、他人との縁にも表れます。友達や家族、医療従事者の支えが彼女を救い、逆に彼女の明るさが周囲を励ましたのです。慢性骨髄性白血病という試練は、彼女に「諦めから新たな道を見つける」力を与え、夢を追い続ける原動力となりました。
『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』(荒井ママレ著、石ノ森草子画)。(Amazon)
新宮さんが愛読するこのマンガは、薬剤師の主人公が患者と向き合う姿を描きます。彼女が薬学部を選んだ背景――自身の薬への好奇心――と深く共鳴する作品です。
闘病中、分子標的治療薬や抗がん剤を飲み続けた新宮さんにとって、薬は命をつなぐ存在でした。しかし、薬の効果や副作用について知る機会は少なく、不安もあったといいます。『アンサングシンデレラ』は、薬剤師が患者一人ひとりに寄り添い、薬の裏側を丁寧に説明する物語。新宮さんはこの作品から「薬剤師の仕事ってかっこいい」と感じ、将来の夢を具体化しました。特に、慢性骨髄性白血病の治療で免疫抑制剤や抗がん剤を学んでいる今、作中の葵みどりの姿勢に学びが多いと語ります。
このマンガは、闘病経験者だけでなく、医療に興味がある人にもおすすめです。新宮さんのように、病気を通じて自分らしさや夢を見つけた読者にとって、希望を与える一冊になるでしょう。
前向きで力を与える発言や考え:
- 「夢を折られても新しい夢を見つける」:「病気で諦めたことがあっても、別の可能性を探せばいいと思うんです。」
- 「自分を発信することで縁が広がる」:「助けてほしいことを伝えると、友達も私もハッピーになれると思うんです。」
- 「諦めは可能性を広げる」:「どうにもならないことを受け入れると、新しい道が見えてくると思うんです。」
- 「友達の支えが力になる」:「闘病中、友達が普段どおり接してくれて、すごく救われたと思うんです。」
- 「小さな夢も大切」:「美容室できれいになる夢が、闘病中の励みになったと思うんです。」
(がんノート)
田中譲士さんの闘病記録:
- 診断の経緯:
- 初期症状:小学生から疲れやすさを感じ、中学・高校で悪化。数メートル泳ぐだけで息が上がる状態に。
- 体育祭での異変:高校1年(17歳)の体育祭で熱中症のような症状で倒れる。その後、発熱が続く。
- 初診:近所の病院で採血。白血球数値が異常に高く、測定不能。大きな病院を紹介される。
- 確定診断:翌日、総合病院で骨髄穿刺検査を受け、慢性骨髄性白血病と診断。急性転化の兆候あり。
- 治療の詳細:
- 分子標的治療薬(告知後すぐ開始):
- チロシンキナーゼ阻害薬を投与。1年間継続したが、効果が不十分で白血球数が下がりきらず。
- 自宅療養を並行し、1カ月後に退院。2学期から高校復帰。
- 抗がん剤治療(移植前):
- 移植の準備として強力な抗がん剤を投与。悪性細胞を叩く目的。
- 副作用として吐き気や倦怠感を経験。
- 放射線治療(移植前):
- 抗がん剤と併用し、全身照射を実施。骨髄内の異常細胞をさらに減少させる。
- 造血幹細胞移植(18歳):
- ドナーは母親(HLA型が奇跡的に一致)。通常、親との一致は極めて稀。
- 移植後、2カ月間の副作用が深刻(詳細は以下)。
- 副作用対応:
- 消化管障害:口・喉・胃・腸の粘膜が損傷。飲食困難、吐き気、下痢。
- 感染症:下痢による皮膚傷から菌が侵入。足の付け根に膿ができ、歩行困難に。
- 脳浮腫:薬の副作用で脳が圧迫され、けいれんと意識喪失。緊急処置で回復。
- 維持療法:
- 移植後は免疫抑制剤を継続。慢性GVHD(移植片対宿主病)として皮膚の脆弱性や色素沈着が残る。
- 現在も定期通院と服薬を続け、体調管理を徹底。
- 分子標的治療薬(告知後すぐ開始):
慢性骨髄性白血病の詳しい説明
**慢性骨髄性白血病(CML)**は、骨髄で白血球が異常に増殖する血液がんの一種です。フィラデルフィア染色体(BCR-ABL遺伝子融合)により、チロシンキナーゼが過剰に活性化し、異常な細胞増殖を引き起こします。進行は「慢性期」「加速期」「急性転化期」に分けられ、新宮さんの場合は急性転化が確認されました。主な症状は疲労感、発熱、脾臓腫大などですが、初期は無症状の場合も多いです。
治療の概要:
- 分子標的治療薬:イマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬が第一選択。慢性期では高い効果を発揮。
- 造血幹細胞移植:薬物療法が効果不十分な場合や急性転化時に適応。ドナー由来の健康な骨髄で置き換える。
- 副作用:移植後はGVHD(移植片対宿主病)が問題に。皮膚、消化管、肝臓に影響が出る場合がある。
統計:
- 日本での発症率は人口10万人あたり約1~2人。比較的まれながん。
- 若年者(10代)での発症はまれで、新宮さんのケースは珍しい。
参照情報:
- 日本血液学会「慢性骨髄性白血病(CML)ガイドライン」
- URL: https://www.jshem.or.jp
- 内容:CMLの診断基準、治療方針、分子標的治療の詳細。
- 国立がん研究センター「慢性骨髄性白血病」
- URL: https://www.ncc.go.jp/jp
- 内容:発症メカニズム、症状、予後に関する情報。
- 日本骨髄バンク「造血幹細胞移植の概要」
- URL: https://www.jmdp.or.jp
- 内容:移植のプロセス、HLA型の一致確率、副作用。