悪性黒色腫(メラノーマ)闘病記。畠山枝李馨さんがステージ1aのメラノーマと適応障害を克服。東日本大震災後の希望の物語。
LA Butterflyとは:
LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。
畠山枝李馨さん闘病まとめ:
悪性黒色腫(メラノーマ)闘病記として、畠山枝李馨さんの体験は希望と勇気の物語です。2011年の東日本大震災で被災し、適応障害を発症した彼女は、精神的な苦しみを抱えながらも、ステージ1aの悪性黒色腫(メラノーマ)を早期発見。手術と経過観察で乗り越え、鬱を克服し、人生への情熱を取り戻しました。患者会「Over The Rainbow」の立ち上げやヨガを通じた心身の回復など、彼女の前向きな姿勢は多くの人に力を与えます。この記事では、彼女の診断、治療、自己発見、そしてがんから得た「キャンサーギフト」を詳しく紹介します。
悪性黒色腫(メラノーマ)闘病記:自分らしさの発見と夢:
東日本大震災と適応障害:試練の始まり
2011年3月11日、畠山さんは仙台で東日本大震災に遭遇。被災のトラウマから情緒不安定になり、涙が止まらず、心療内科で適応障害(ストレスに対する過剰な反応で、日常生活に支障をきたす精神障害)と診断されました。薬の副作用で眠気や吐き気、極端な倦怠感に襲われ、トイレに這うほどの状態が半年続きました。この時期、彼女は「記憶がほとんどない」と振り返り、人生のどん底を経験しました。
がん診断:生きる意志の再発見
悪性黒色腫(メラノーマ)の診断は、彼女にとって逆説的な「光」でした。小学生時代からあった腹部のほくろが変化し、生検(組織を切り取り顕微鏡で調べる検査)でステージ1aのメラノーマと判明。「やっぱり」と冷静に受け止めた彼女は、がんが「目に見えるがんだから早期発見しやすい」と前向きに捉えました。この診断が、鬱で「死にたい」と思っていた彼女に「生きたい」という情熱を呼び起こしたのです。
ヨガとリワーク施設:自分らしさを取り戻す
復職を目指し、仙台のリワーク施設で認知行動療法(思考や行動のパターンを変える心理療法)やヨガを学びました。ヨガは「心と体をつなぐ」ツールとして、彼女の精神的な回復を支え、今も続けるライフスタイルの一部です。リワーク施設での1〜2か月のプログラムを経て、奨学金を返すため仕事に復帰。社会とのつながりを取り戻す過程で、彼女は自分らしい生き方を見つけました。
夢と未来:患者会「Over The Rainbow」の設立
畠山さんは2013年、悪性黒色腫(メラノーマ)の患者会「Over The Rainbow」を設立。希少がんの孤独や不安を分かち合い、希望を共有する場を作りました。この活動は、彼女の夢である「他者の人生に触れ、支え合うこと」の具現化です。がんを通じて出会った多様な人々とのつながりは、彼女にとって「キャンサーギフト」。学校や職場を超えた広い世界で、彼女は自分らしい役割を見出しました。
がんが教えてくれたこと
「がんになって、狭い世界から解放された」と語る畠山さん。鬱を克服し、恋愛や仕事での挑戦を続ける彼女は、自分らしさを追求する勇気を体現しています。彼女の夢は、患者会を通じて希望を広げ、ヨガや日常の小さな楽しみで心を満たすこと。悪性黒色腫(メラノーマ)闘病記は、試練を乗り越え、人生を輝かせる彼女の物語です。
前向きで力を与える発言や考え:
- 「あきらめない!」: 「どんなに暗闇でも、必ず光は差すと思うんです。」
- 「がんが教えてくれた」: 「死にたいと思っていたけど、がんになって生きたいと気づけたんです。」
- 「恋愛をあきらめないで」: 「がんを話すと去る人もいるけど、素敵だと受け止めてくれる人もいると思うんです。」
- 「小さな楽しみを見つけて」: 「入院中でも、イケメン主治医や美味しいごはんを見つけるだけで心が軽くなると思うんです。」
- 「キャンサーギフト」: 「がんで出会えた人々や広がった世界は、私の宝物だと思うんです。」
(がんノート)
畠山枝李馨さんの闘病記録:
- 診断プロセス:
- 初期観察:小学生時代からあった腹部のほくろが変化。盛り上がり、イボのようになり、滲出液が見られたため、がんの可能性を疑う。
- 受診:総合病院の皮膚科を受診。医師がほくろを「怪しい」と判断し、生検を提案。
- 生検:直径8mmのほくろを含む約1cmの組織を切除。病理検査(顕微鏡で組織を詳細に調べる検査)で悪性黒色腫(メラノーマ)と確定。ステージ1a(腫瘍厚さ1mm以下、潰瘍なし、転移なし)と診断。
- 告知:仙台の病院で医師から「あ、メラノーマです」と簡潔に告知。家族が青森にいたため、1人で受ける。冷静に「やっぱり」と受け止める。
- 治療プロセス:
- 手術1:原発巣切除:メラノーマの原発巣を切除。局所麻酔を使用し、腫瘍周囲を適切なマージン(1cm程度)で切除。傷跡を最小限に抑える丁寧な縫合を実施。
- 手術2:センチネルリンパ節生検:全身麻酔下で、腫瘍周辺のリンパ液が最初に流れ込むセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)を検査。転移がないことを確認。手術時間は約2時間。
- 術後管理:抗菌剤投与と酸素吸入。術後発熱が続き、抗菌剤の追加ができないため経過観察。熱は数日で解消。
- 経過観察:手術後、3か月に1回の通院で再発や転移をチェック。ステージ1aのため、術後補助療法(薬物療法や放射線)は不要。
- 精神的サポート:手術中、母や当時の恋人がサポート。畠山さんは初手術に「ワクワク」する一方、三角帯(手術用の簡易下着)の恥ずかしさや全身麻酔の快適さをユーモラスに振り返る。
悪性黒色腫(メラノーマ)の医学的説明
悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚のメラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中で最も悪性度が高いとされます。日本人では10万人に1〜2人と希少ですが、早期発見が予後を大きく左右します。メラノーマは紫外線や遺伝子変異(特にBRAF遺伝子)が原因とされ、ほくろや色素斑の変化が初期徴候です。以下は詳細な説明です。
- 特徴:
- 発生部位:皮膚(特に手足の爪、掌蹠)、粘膜(鼻腔、口腔)、眼など。白人では紫外線暴露部位(背中、脚)に多いが、日本人では肢端型(手足の末端)や粘膜型が4割以上を占める。
- 診断基準:非対称性、境界不明瞭、多色性(黒、褐色、赤など)、直径6mm以上、急速な増大(ABCDE基準)。ダーモスコピー(拡大鏡検査)でほくろとの鑑別を行う。
- ステージ分類(TNM分類):
- T(腫瘍厚さ):腫瘍の深さ(Breslow厚さ)と潰瘍の有無。ステージ1aは厚さ1mm以下、潰瘍なし。
- N(リンパ節転移):センチネルリンパ節や所属リンパ節への転移。
- M(遠隔転移):肺、脳、肝臓などへの転移。ステージ1aでは転移なし。
- 治療:
- 外科的切除:原発巣を1〜2cmのマージンで切除。ステージ1aではこれで完治の可能性が高い。
- センチネルリンパ節生検:転移の有無を確認。転移がない場合、追加治療は不要。
- 術後補助療法:ステージIIB以上やリンパ節転移例では、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)や分子標的薬(ダブラフェニブ+トラメチニブ)が検討される。
- 経過観察:3〜6か月に1回の検査で再発や転移を監視。
- 予後:
- ステージ1aの5年生存率は95%以上。早期発見が鍵。
- 進行例(ステージIV)では予後不良だが、免疫療法の進歩で生存期間が延長。
- 参照情報:
- ソース1:がんノート「悪性黒色腫(メラノーマ)を経験された畠山枝李馨さんのインタビュー」(gannote.com)。畠山さんの診断・治療体験の詳細。
- ソース2:国立がん研究センター「悪性黒色腫(メラノーマ)」(ncc.go.jp)。メラノーマの診断基準、治療法、ステージ分類の解説。
- ソース3:日本皮膚科学会「がん診療ガイドライン:メラノーマ」(jsco-cpg.jp)。外科的切除やセンチネルリンパ節生検のエビデンス。
- ソース1:がんノート「悪性黒色腫(メラノーマ)を経験された畠山枝李馨さんのインタビュー」(gannote.com)。畠山さんの診断・治療体験の詳細。