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子宮頸がんの治療選択は「ステージ」「組織型」「患者さんの状態」の3つで決まる

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子宮頸がんの治療方針を決めるために必要な要素は3つあります。

1.ステージ(病期):子宮頸がんの大きさや広がりの度合い
2.組織型:子宮頸がんの種類
3.患者さんの状態:年齢、全身の状態など

納得した上で子宮頸がんの治療に取り組むには、3つの要素によって、どのように治療方針が決められているのかを理解しておくことが大切です。

がんの広がりの度合いを示す「ステージ」

ステージは日本語では「病期」と呼ばれ、がんの進行段階を表しています。がんは、進行とともに広がっていく性質があるので、がんの広がりの度合いによってステージが決められます。

ステージはI期~IV期に分類され、数字が大きいほどがんが進行した段階であることを示します。各ステージには細かい分類(亜分類)があります。

1) 各ステージは、どのように決められているの?

子宮頸がんのステージは、子宮頸がんが子宮から徐々に周囲の臓器へ広がる特徴をとらえて、以下のように分類されています。

ステージⅠ期:がんが子宮に限局(子宮内だけに存在)している
ステージⅡ期:がんが膣や子宮周囲組織に進展している(広がっている)が、進展の度合いは高度でない
ステージⅢ期:がんが膣や子宮周囲組織に高度に進展している
ステージⅣ期:がんが子宮の周りの臓器(直腸や膀胱)に浸潤している。または離れた臓器に転移(遠隔転移)している

詳細なステージについては、下の表と図をご覧ください。

なお、現在ステージの分類について見直しが行われています。見直しの元になっているのは、2018年にFIGO(国際産婦人科連合)が発表した「子宮頸がん進行期分類(FIGO2018)」です。参考のため、「子宮頸がん進行期分類(FIGO2018)」を掲載します。

2) 子宮頸がんのステージは確定診断の際に決まる

子宮頸がんの治療は、確定診断の際に決まったステージに基づいて進められます。
その理由は、子宮頸がんでは、手術を行わず放射線療法が主治療になる場合があるからです。手術を行えば、切除した組織を調べることで、確定診断時に決めたステージを見直すことができます。しかし子宮頸がんでは、手術を行わないこともあるので、確定診断時に決まったステージを使うことになっているのです。

がんの”顔つき”を示す「組織型」

組織型は、病理検査によって決まります。病理検査では、採取された組織を顕微鏡で観察。細胞や組織の形状の特徴を確認することで、いくつかの種類に分類します。これが「組織型」です。わかりやすく説明すると、そのがんの“顔つき”と言えます。

1) 子宮頸がんの「組織型」には、「扁平上皮がん」と「腺がん」がある

子宮頸がんの場合、主な組織型は「扁平上皮がん」と「腺がん」の2種類です。 「扁平上皮がん」と「腺がん」を比較すると、一般的に「扁平上皮がん」の方が治療の効果が高く、再発率や死亡率が低い傾向にあるとされています。

このように「組織型」が異なれば、たとえ同じステージの子宮頸がんでも、そのふるまい(治療の効果など)や予後が変わります。つまり「組織型」は、治療法の決定に影響を及ぼすとても重要な情報なのです。

2) 組織型を確認することで「その患者さんに、より合った医療」が可能に

がんは遺伝子の変異によっておこる病気です。がんの原因になる遺伝子の変異には、いくつかの種類があります。そのため、がんの“顔つき”に違いが生じるのです。

つまり病理検査によってがんの“顔つき”を確認して「組織型」に分類することは、大まかに遺伝子変異を分類していることになります。その結果に基づいて治療法が決められているわけで、これは、患者さんのがんの性質に合わせた治療とも言えます。

3) 同じ組織型でも、治療の効果には個人差がある

組織型は“顔つき”によって決定されます。遺伝子の検査を行っているわけではなく、遺伝子変異をおおまかに分類しているわけです。そのため、同じ組織型と診断された患者さんでも、治療の効果には個人差がある場合があります。

例えば、一般的には「扁平上皮がんは放射線療法が効きやすい」とされていますが、扁平上皮がんと診断された患者さんでも、放射線療法があまり効果を示さない場合があります。逆に、「腺がんは放射線療法が効きにくい」とされていますが、実際に放射線療法を行うと大きな効果が出る場合もあります。

全身の状態も考慮して治療法が選択される

たとえステージや組織型の情報からは「手術可能」と判断される患者さんでも、全身の状態が悪ければ手術をせず、放射線療法に切り替える場合があります。

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監修医師

金尾 祐之 Hiroyuki Kanao

公益財団法人がん研究会 有明病院
専門分野:婦人科

専門医・認定医:
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


温泉川 真由 Mayu Yunokawa

公益財団法人がん研究会 有明病院
専門分野:腫瘍内科(主に婦人科がん)

専門医・認定医:
日本産科婦人科学会専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、日本細胞学会細胞診専門医、日本臨床腫瘍学会指導医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


田中 佑治 Yuji Tanaka

公益財団法人がん研究会 有明病院
専門分野:婦人科

専門医・認定医:
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。

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