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ステージⅠでは将来の妊娠に備える治療が可能な場合がある

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IA期とIB期の一部では、患者さんが妊娠を強く希望する場合、妊孕性(にんようせい)温存のため「子宮温存手術」が行われる場合があります。

妊孕性とは「妊娠するための力」のことです。将来の妊娠に備えて、「妊娠するための力」を温存するのが「妊孕性温存」です。

子宮温存手術を行う条件

子宮頸がんの手術療法では、子宮全摘出術が標準的な治療です。そのため、子宮温存手術を選択する場合には、様々な条件をクリアしている必要があります。一番重要なことは、患者さんが妊孕性の温存を強く希望していることですが、そのほかにも、腫瘍の大きさやリンパ節転移がないことなど、様々な条件があります。

ⅠA1期の場合

ⅠA1期の子宮頸がんと診断された場合、治療として「円錐切除術」が行われます。円錐切除術は、がんがある部分を取り除くため、子宮頸部の一部を円錐状に切除する方法です。

切除した組織は病理検査を行います。その結果、断端(だんたん:切り取った組織の外側の部分)にがん細胞がないことが確認できた場合「断端陰性」と呼びます。
「断端陰性」に加えて「脈管侵襲がない(血管やリンパ管にがん細胞が広がっていない)」場合、患者さんが強く妊孕性温存を望む場合は、子宮の温存が可能です。
ただし、断端陰性であっても残した子宮側に病変が残っている場合もあるので、子宮を温存した場合、再発の有無を厳重に監視する必要があります。

ⅠA2期とⅠB期の一部

標準治療では、ⅠA2期は準広汎子宮全摘出術を、ⅠB期は広汎子宮全摘出術を行います。しかし患者さんが強く妊孕性温存を望む場合で、かつ、すでに説明した条件に合致する場合に限り「広汎子宮頸部摘出術」が行われる場合があります。
「広汎子宮頸部摘出術」は、妊娠するための力を保つために子宮体部と卵巣を残します。それ以外は広汎子宮全摘出術と同じ範囲を切除します。切除した部分は取り除き、腟と残った子宮とを縫合して手術が完了します。

広汎子宮頸部摘出術を行う場合、以下の点に注意する必要があります。このほかにも注意点があるので、医師とよく相談して、注意点やリスクをよく理解した上で決断することが大切です。

1) 手術中、医師の判断で子宮を温存できない可能性がある

実際に手術を進めると、子宮頸がんが想定していたよりも広がっていたとわかるケースがあります。この場合、標準治療である「広汎子宮摘出術に切り替える」という判断がされることがあります。広汎子宮全摘出術に切り替えると子宮がすべて摘出されるため、妊孕性温存はできないことになります。

2) 子宮や卵巣は温存されるが、妊娠の確率は低下する

3) 術後妊娠した場合、流産や早産のリスクが通常の妊娠よりも高くなる

監修医師

金尾 祐之 Hiroyuki Kanao

公益財団法人がん研究会 有明病院
専門分野:婦人科

専門医・認定医:
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


温泉川 真由 Mayu Yunokawa

公益財団法人がん研究会 有明病院
専門分野:腫瘍内科(主に婦人科がん)

専門医・認定医:
日本産科婦人科学会専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、日本細胞学会細胞診専門医、日本臨床腫瘍学会指導医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


田中 佑治 Yuji Tanaka

公益財団法人がん研究会 有明病院
専門分野:婦人科

専門医・認定医:
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。

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