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再発した「膀胱がん」の治療法

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再発とは、手術療法や薬物療法、放射線療法を行った後に、再度がんが現れることです。
膀胱がんの再発には、膀胱内にがんが再び現れる「局所再発」と、肺・肝臓・骨などの離れた臓器にがんが発生する「遠隔転移再発」があります。
再発した膀胱がんの治療は、ステージや初回治療の内容によって異なります。

局所再発・遠隔転移再発による症状

膀胱がんが局所再発した場合、また、遠隔転移再発した場合、以下の症状が現れます。

筋層非浸潤性膀胱がん 再発時の治療法

筋層非浸潤性膀胱がんの再発は、ほとんどの場合局所再発です。実際の治療は、初回治療の内容によって異なります。

1) 初回治療が「抗がん剤膀胱内注入療法」の場合

再発リスクが低リスクと中リスクの一部では、初回治療は「抗がん剤膀胱注入療法」を行います。その後再発が起こった場合、中リスク・高リスクの初回治療と同じ治療を行います。

2) 初回治療が「BCG膀胱内注入療法」の場合

再発リスクが中リスクの一部と高リスクの場合、初回治療は「BCG膀胱内注入療法」となります。その後再発が起きた場合、膀胱がんのタイプが上皮内がんか、上皮内がん以外で、治療法は異なります。
上皮内がん以外の場合は「TURBT」を行います。一方、上皮内がんの場合は、2度目の「BCG膀胱内注入療法」を行います。2度目の「BCG膀胱内注入療法」によって十分な効果が得られない場合、膀胱全摘除術が検討されます。

筋層浸潤性膀胱がん 再発時の治療法

筋層浸潤性膀胱がんが再発した場合の治療は、初回治療が「膀胱全摘除術」か「膀胱温存療法」かによって異なります。

1) 初回治療が膀胱全摘除術の場合

転移性膀胱がん(ステージⅣ期)と同じ治療を行います。詳しくは「転移性膀胱がん(ステージⅣ期)」をご覧ください。

2) 初回治療が膀胱温存療法の場合

① 膀胱内再発の場合

再発したがんが筋層非浸潤性膀胱がんであれば、筋層非浸潤性膀胱がんの初回治療と同じ治療を行います。詳しくは「筋層非浸潤性膀胱がんの治療法」をご覧ください。一方、再発したがんが筋層浸潤性膀胱がんの場合、膀胱全摘除術を行います。詳しくは「筋層浸潤性膀胱がんの治療法」をご覧ください。

② 遠隔転移再発の場合

遠隔転移性膀胱がん(ステージⅣ期)と同じ治療を行います。詳しくは「転移性膀胱がん(ステージⅣ期)治療の中心は化学療法」をご覧ください。

転移性膀胱がんの場合

転移性膀胱がんの一次治療では、化学療法が行われます。その後、再発または進行した場合、「キイトルーダ」と呼ばれる薬剤を使用して二次治療を行います。
キイトルーダは、「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれるカテゴリーの薬です。私たちの体には、体内に侵入した異物やがん細胞を排除する「免疫」という働きがあります。「免疫チェックポイント阻害薬」は、この免疫の働きを利用してがん細胞を排除する治療法です。

① 免疫チェックポイント阻害薬には、どのような働きがある?

免疫の働きを担っている「免疫細胞」のひとつである「T細胞」は、がん細胞を攻撃して死滅させる役割を果たしています。
一方、「T細胞」の攻撃力が強くなりすぎると正常な細胞も傷つけてしまいます。そのようなことが起こることを避けるため、私たちの体には、攻撃力を制御する「免疫チェックポイント」という仕組みが備わっています。がん細胞は、この「免疫チェックポイント」の仕組みを悪用することで、T細胞の攻撃から逃れる場合があるのです。
膀胱がんの治療に使用される「免疫チェックポイント阻害薬」のキイトルーダは、がん細胞が「免疫チェックポイント」のスイッチをONにするのを阻止する働きがあります。その結果、T細胞の攻撃力が抑制されることがないので、T細胞が本来の働きを取り戻し、がん細胞を排除することができるのです。

② 「免疫チェックポイント阻害薬」には「細胞障害性抗がん剤」とは異なる副作用がある

「免疫チェックポイント阻害薬」は、免疫の働きに作用する薬です。そのため、化学療法に使用される細胞障害性抗がん剤のように、正常な細胞にもダメージを与えてしまうというデメリットはありません。
一方で、「免疫チェックポイント阻害薬」によって免疫が過度に働くことで、細胞障害性抗がん剤とは異なる副作用が現れる場合があります。「免疫チェックポイント阻害薬」の副作用には重大なものもあるので、使用にあたっては十分な注意が必要です。
膀胱がんの治療に使用される「免疫チェックポイント阻害薬」の「キイトルーダ」によって起こる可能性がある重大な疾患には、以下のようなものがあります。

●間質性肺疾患
●大腸炎・小腸炎・重度の下痢
●糖尿病
●筋炎 など

「キイトルーダ」による治療を開始する前には、医師や薬剤師の説明をよく聞いて、命に関わることもある重大な疾患の自覚症状を理解しておくことが大切です。その上で、もしも重大な疾患の自覚症状がある場合は、すぐに医師に連絡しましょう。

監修医師

堀江 重郎 Shigeo Horie

順天堂大学大学院泌尿器外科学 主任教授
順天堂大学附属順天堂医院 泌尿器科長
専門分野:泌尿器がん(前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌)の手術・薬物治療、男性更年期障害、性機能障害、性腺機能低下症、LOH症候群

専門医・認定医:
日本泌尿器科学会指導医、日本腎臓学会指導医、日本癌治療学会暫定教育医、日本内視鏡外科学会腹腔鏡技術認定医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


北村 香介 Kousuke Kitamura

順天堂大学附属練間病院 泌尿器科 准教授
専門分野:泌尿器悪性腫瘍、ロボット手術、腹腔鏡手術、尿路性器感染症

専門医・認定医:
日本泌尿器科学会 認定専門医、日本泌尿器科学会 指導医、日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡手術認定医、日本がん治療認定医機構 専門医、ロボット外科学会 国内A級認定、ロボット外科学会 国際B級認定、インテュイティブサージカル da Vinci Certificate

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


家田 健史 Takeshi Ieda

東京臨海病院 泌尿器科
専門分野:膀胱腫瘍・尿路感染症

専門医・認定医:
日本泌尿器学会専門医・指導医 日本がん治療学会認定医、Certificate of Da Vinci System Training、ぼうこう又は直腸障害の診断指定医、ICDインフェクションコントロールドクター認定、内分泌代謝科(泌尿器科)専門医、医学博士

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。

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