治療が終了した後、定期的に病院を受診します。目的は経過観察をすることと、乳がんの再発がないかを確認するためです。受診時には、問診と視触診が行われます。必要な場合は、血液検査や画像診断を行うこともあります。そのほかにも、年に1回、マンモグラフィを受けます。
乳がんの再発や転移は、手術してから5年後以降に起こる場合もある
手術によって乳がんを切除しても、目に見えないほど小さながんが残っている可能性があります。それが血液やリンパ液の流れに乗って体内に広がり、発症する場合があります。乳がんは、手術後5年以降、10年経っても再発する場合があるので、特に、進行が遅い性質の乳がんの場合、5年目以降も検査を続ける必要があります。
広がったがんが、手術した側の乳房内や乳房の周辺のリンパ節や皮膚などに発症した場合は「局所再発」と呼ばれます。一方、乳房から離れた骨や肺などで発症した場合は「遠隔転移」と呼ばれます。
日々のセルフチェックが大切
乳がんの治療が終わった後、セルフチェックをすることで、仮に再発があった場合でも発見することができます。
セルフチェックをする範囲
①乳房部分切除術を受けた場合
・手術をした側の乳房とその周辺
・反対側の乳房
②乳房全切除術を受けた場合
・手術をした側の前胸部の周辺
・反対側の乳房
セルフチェックの方法
1.鏡を使って確認する
両手を上げたり下げたりしながら、乳房と乳頭の形に変化がないかをチェックします。
2.指で触って確認する
人さし指、中指、薬指の3本で乳房全体を以下のように触りながら、しこりがないかを確認します。
合わせて、わきの下や頚部も触り、しこりがないかを確認します
3.乳頭・乳輪の状態を確認する
血性乳頭分泌(血が混じった分泌物)がないかを確認します。乳頭乳輪を残す手術をした場合には、その部分にびらん(ただれた状態)がないかも確認しましょう。
乳がんではない「しこり」もある
しこりがあったとしても、乳がんではない場合があります。ただし区別するのは難しいので、しこりが見つかったら、必ず医師の診察を受けましょう。
定期的な検査でチェックする内容
問診・視触診だけでなく、次のような検査を行う場合があります。
・乳腺超音波検査(エコー)
・画像検査(CT、MRI、骨シンチグラフィ、PET)
・血液検査(腫瘍マーカーを確認する)
基本的には、年に1回、マンモグラフィのみの実施が推奨されています。