LA Butterfly

放射線療法

–>

子宮体がんの3つの治療法
その2 メスを入れずに治療が可能な「放射線療法」

「放射線療法」は、がんがある部分だけを治療する「局所療法」のひとつです。 同じ「局所療法」である手術療法と比べると、「放射線療法」は体にメスを入れずに治療できるという特徴があります。

このような特徴が「放射線療法」にあるのは、放射線には「電離作用」と呼ばれる性質があるからです。 放射線が体内を通過する際、放射線の「電離作用」によってがん細胞のDNAが破壊されます。その結果、がん細胞が死滅するのです。

「子宮体がん」は、子宮頸部にできる「子宮頸がん」と比べると、放射線療法が効きづらいという性質があります。そのため「子宮体がん」の初回治療では、基本的に「放射線療法」ではなく「手術療法」が行われます。


子宮体がんでは放射線療法は、どのような場合に行われる?

子宮体がんの放射線療法は、次の3つの場合に行われます。

    1. 手術を行うことが難しい場合
      子宮体がんの治療では「手術療法」が第一選択になっています。 しかし患者さんが高齢、持病があるなどの理由で「手術療法」を受けることが難しい場合があります。このような場合、代わりに「放射線療法」が行われる場合があります。
      ほかにも、子宮体がんが広い範囲に広がっているため「手術療法」が難しい場合に、局所の治療のために「放射線療法」を行うことがあります。

 

    1. 術後補助療法
      手術療法を行った後には再発リスクの評価を行い、「低リスク群」「中リスク群」「高リスク群」の3つに分類。「中リスク群」と「高リスク群」では術後補助療法を行います。この術後補助療法として「放射線療法」が行われる場合があります。

 

  1. 症状の緩和
    子宮体がんが骨などに転移した際、痛みや腫脹等の症状を和らげるために放射線療法が行われることがあります。


「術後補助療法」として行われる「放射線療法」とは?

子宮体がんの放射線療法を「術後補助療法」として行う場合、基本的には「外部照射」と「腔内照射(くうないしょうしゃ)」を組み合わせます。

放射線療法は、分割して照射が行われます。理由は、照射した範囲にあるがん細胞を減少させながらも、同じ範囲内の正常細胞へのダメージを最小限に抑えられるからです。

放射線療法はどのように行われるの?

1) 治療方針決定

婦人科医と放射線療法を担当する放射線科の医師が患者さんを診察し、画像検査や血液検査などの情報と、子宮体がんのステージや全身の状態も合わせて治療方針を決めます。患者さんと相談して同意が得られたところで治療がスタートします。

 

2) 治療計画用のCT撮影

「治療計画」とは、どの方向から、どのくらいの線量の放射線を照射するかを決めることです。そのためには、がんがある位置を正確に把握する必要があるので、CT撮影を行います。ほかにも、放射線療法を行う際に体を固定するための固定具を調整します。固定具によって体の位置を一定に保ち、体の動きを抑えることで、「治療計画」どおりの正確な照射が可能になります。

 

3) 治療計画決定

撮影したCT画像を元に、専用のコンピュータを使って治療計画を立てます。立てた計画はその有効性を確認します。具体的には、がんがある部分に十分な量の放射線を照射できるか、逆に、健康な組織や臓器に当たる放射線が基準内に収まるかなどがチェックされます。

 

4) 位置決め(シミュレーション)

①外部照射の場合
実際に治療を行う台の上で、治療時と同じ姿勢をとります。次に、実際に放射線を照射する範囲を決め、皮膚に印をつけます。

②腔内照射の場合
腔内照射を行うには、子宮腔内に線源(放射線を放出する小さな物質)を通すための管を挿入する必要があります。治療を行う前に、管をきちんと挿入できるかを確認します。

 

5) 放射線照射(実際の治療)

①外部照射の場合
体を固定した後、腫瘍の位置を確認するために画像撮影を行い、誤差を補正した後、照射を開始します。実際に放射線が照射される時間は数分ですが、着替えや準備を含めて10~15分ほどかかります。

②腔内照射の場合
子宮腔内に器具を挿入すると痛みを感じる場合があるので、痛み止めの薬を使います。器具を挿入後、CTを撮影して位置を確認。その後、治療がスタートします。

 

6) 経過観察

治療の結果だけでなく、副作用の有無も確認します。放射線療法による副作用は、治療後数ヶ月から数年後に現れることもあるため、定期的な診察が必要です。


放射線療法の副作用

放射線療法による副作用には、治療直後に起こるものと、しばらくたってから起こるものがあります。

  1. 治療直後の副作用(急性期障害)
    頻度が高い副作用としては下痢、吐き気や嘔吐、体のだるさ、放射線皮膚炎(皮膚が日焼けのような状態になる)などがあります。
  2. 治療後しばらくたってから現れる副作用(晩期障害)
    それ以外にも直腸炎・直腸出血、膀胱炎・出血性膀胱炎、下腹部の皮膚が硬くなる、リンパ浮腫(足や下腹部がむくむ)、腸閉塞などが起こる場合があります。


子宮体がんTOPへ戻る