小細胞がんは進行が速く、転移しやすい性質があるため「ステージ(病期)」という分類だけでなく、「限局型」と「進展型」という分類も使われます。
小細胞肺がんの治療法は2つの分類で決められている
1)限局型のうちステージⅠA、ⅠB、ⅡA
化学放射線療法
化学療法と放射線療法を組み合わせた「化学放射線療法」を行います。身体状態が悪いなどの理由で放射線療法を行うことができない場合は、薬物療法のみになります。薬物療法で使用される薬剤は以下のどちらかです。
・シスプラチン+エトポシド
・カルボプラチン+エトポシド(+アテゾリズマブ)
手術が可能な場合
手術後に化学治療を行います。シスプラチンとエトポシドを組み合わせる方法が一般的です。
手術後に小細胞肺がんとわかった場合
ステージⅠまたはⅡAの肺がん見つかり手術を実施。手術後の病理組織検査で、小細胞肺がんだとわかる場合も多いのが現状です。この場合は、手術後にシスプラチンとエトポシドを組み合わせた化学療法を行います。
限局型のステージⅡB以上、または進展型
薬物療法を行います。患者さんの年齢によって使用される薬剤は異なります。
●70歳以下
カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ、シスプラチン+イリノテカン、または、シスプラチン+エトポシド
●70歳以上
シスプラチン+エトポシド、または、カルボプラチン+エトポシド
各化学療法の副作用
●カルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ
白血球減少、貧血、血小板減少
吐き気、嘔吐、食欲不振、脱毛、全身倦怠感、下痢、便秘、口内炎、甲状腺機能低下症、発疹など
●シスプラチン+エトポシド
白血球減少、貧血、血小板減少、腎障害
吐き気、嘔吐、食欲不振、脱毛、全身倦怠感、味覚障害、聴覚障害、手足のしびれなど
●シスプラチン+イリノテカン
白血球減少、貧血、血小板減少、腎障害、肝臓障害
吐き気、嘔吐、食欲不振、脱毛、下痢、手足のしびれ、聴覚障害、味覚障害、口内炎など
●カルボプラチン+エトポシド
白血球減少、貧血、血小板減少
吐き気、嘔吐、食欲不振、脱毛、全身倦怠感、下痢、便秘、口内炎など
放射線療法
小細胞肺がんの放射線療法は、非小細胞肺がんの照射方法とは異なる方法で進められます。非小細胞肺がんでは1日に1回照射ですが、小細胞肺がんでは1日に2回照射するのが標準です。これを「加速分割照射」と呼びます。
小細胞肺がんで「加速分割照射」を行う理由は、小細胞肺がんには「増殖速度が速い」という特徴があるからです。このため照射期間を短縮することで、治療効果の向上を目指します。
監修医師
小島 史嗣 Fumitsugu Kojima
聖路加国際病院
専門分野:呼吸器外科
専門医・認定医:
日本外科学会 専門医、日本呼吸器外科学会 専門医・認定ロボット手術プロクター、日本がん治療学会 認定医
*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。
後藤 悌 Yasushi Goto
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
専門分野:臨床腫瘍学
専門医・認定医:
日本内科学会認定内科医 総合内科専門医 指導医、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 指導医、日本がん治療認定機構 がん治療認定医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医 指導医
*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。