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80歳を過ぎて発症した前立腺がん、粒子線治療が不安を解消してくれた

兵庫県立粒子線医療センターで「陽子線治療」を受けている82歳のAさんに、治療を受けることになった理由と治療の感想、治療完了後にやってみたいことについて話を聞かせてもらいました。

痛みもないし、治療時間は15分ほど

 今日で治療は32回目です。全部で37回なので、残り5回ですね。痛いとか、おしっこの出が悪いとか、そういうことは全くありません。ふだんと同じですね。自分では、良くなっているかどうかわかりませんが、きっときれいに治ると信じていますよ。

 治療は数分で終わります。準備も含めても15分ぐらいで、ただ横になっているだけです。その間、痛いとか熱いとか、全く感じません。係の人が「はい終わりました」とマイクを使って教えてくれるのですが、「もう終わったの」という感じですね。

 特に大変なことはありませんが、あえて言えば、治療が始める前に排便を済ませて、ガスを出すようにと言われていることぐらいですかね。ほかにも治療1時間前に排尿をしてから水を400cc飲み、その後は、治療が終わるまで尿をためておきます。

 「便を出しておかないといけない」「水を飲まないといけない」と思うと、気持ちがちょっと重くなることもあります。でも、決まった時間に排便するとスッキリするし、いいことだと思うようになりました。

ホルモン療法を中断することになって…

 2018年の1月に、PSAの数値が高くなって、兵庫県立加古川医療センターを受診しました。検査の結果、前立腺がんだという診断で…。

 ただ、そのとき80歳を超えていたので、「手術はしない方針です」という説明を受けました。その代わりに、ホルモン療法を受けることになって。おなかに注射を打ったり薬を飲んだりするんですね。それが原因なのか、よくわからないのですが、足の筋肉が衰えた感じで、足がだるくなってきたんですね。主治医の先生に相談したら、「しばらく薬をやめてみましょう」という話になりました。2019年の2月のことです。

 でも、何も治療をしないままでは不安だしね。何かいい治療法はないかと思って、インターネットも調べてみました。兵庫県立粒子線医療センター(以降「粒子線医療センター」と略)のホームページを見て「これだ」と。実は、前立腺がんだと診断された後、前立腺がんの本を買ったんですね。その中に粒子線医療センターのことが書いてあって、「この病院はいいな」と思っていたんです。

 ホームページには、いろいろなことが書いてありましたが、正直、理解するのは難しかったですね。でも、「効果がありそうだ」ということはわかったので、粒子線医療センターに電話をかけて、自分も治療を受けられるのか尋ねてみたんです。前立腺がんの治療も行っていることや、2018年から保険が適用されて金銭的な負担が少なくなったことを教えてもらってね。「ぜひ治療を受けたい」と思ったので、手続きの方法を確認しました。通常の紹介状ではなくて所定の書類があるので、主治医の先生に記入してもらってFAXで送信。OKが出たので、粒子線医療センターで診察を受けて、粒子線治療を受けられることが正式に決まりました。

粒子線治療という選択肢を知ってほしい!

 粒子線治療が始めった後、治療がお休みの日に仲間の集まりに顔を出したんですね。この年になると前立腺がんになる人も多いから、自分の体験をみんなの前で話したんです。80歳以上になると手術が難しくなることや、粒子線治療なら受けられる場合があることを説明しました。

 自分が治療を受けてみて、痛みはないし、15分ほど横になっているだけで終わってしまう。水を飲んで尿をためる必要はあるけれど、それほどたいしたことではない。すごくよい治療法だと思うんです。前立腺がんには、粒子線治療という選択肢があることを、もっと多くの人に知ってほしいと思います。

元気になったらグラウンドゴルフをしたい

 治療が終わって、体調が良くなったら、また、グラウンドゴルフをやりたいですね。地域の高齢者大学に通っていたことがあって、そのとき、グラウンドゴルフを始めたんですよ。もう7年ぐらいになりますかね。あまりうまくないけど、健康のためにいいから。ホルモン療法を始めてから足がだるくなってしまって、しばらくやっていないんですよ。仲間とも会えるので、早く体調が回復するといいなと思っています。

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