LA Butterfly

ダヴィンチ手術 ロボットでより精密な手術が可能に

「ロボット支援手術」が適応になる条件

前立腺がんで「ロボット支援手術」が適応になる条件は、従来の「開腹手術」や「腹腔鏡手術」の場合とほぼ同じです。

1.前立腺がんの状態

転移がない前立腺がん
(リンパ節への転移が疑われる場合でも、該当のリンパ節が1~2個だけであれば手術を行う場合もある)

2.身体の状態

各臓器に大きな問題がなく、全身麻酔による手術を受けられる体力がある

「ロボット支援手術」
入院後のスケジュール

医療機関によって差がありますが、その一例を見てみましょう。

「ロボット支援手術」の場合、術後の痛みも少なく、翌日には歩行が可能です。ただし、尿道に入れたカテーテルを抜くまでに5日程度かかるため、入院期間は8日ほど必要です。

1日目 検査、手術・麻酔の説明
2日目 手術飲食禁止
3日目 手術の翌日歩行・食事再開
4日目
5日目
6日目
7日目 術後5日目抜糸、尿道のカテーテルを抜く
8日目 術後6日目 退院
●カテーテルを抜くまでに5日ほどかかる理由

前立腺がんの手術では、前立腺をすべて摘出します。前立腺の内部には尿道が通っているため、まず尿道を切断してから前立腺を摘出。その後、尿道を縫い合わせる処置を行います。その傷が治るまでは、尿道にカテーテルを入れて尿を体外に排出する必要があります。傷が治るまでには5日ほどかかるので、通常、カテーテルを抜くのは5日目以降になります。

「ロボット支援手術」
どの先生に任せればいい?

「ロボット支援手術」で使われるロボットには自動で手術を進める機能はなく、医師がロボットアームを操作します。そのため、安心して手術を受けるには、担当する先生の経験や技術などを確認することが重要です。具体的には、どうすればよいでしょう?

1.これまで行ってきた手術件数を確認する

「ロボット支援手術」は、細かく精密な手術が可能ですが、その能力を最大限に発揮するには、ロボットアームの操作を完全に自分のものにする必要があります。そのためには、「ロボット支援手術」の経験を重ねることが不可欠です。

また「ロボット支援手術」は、従来の「開腹手術」や「腹腔鏡手術」とは違い、触覚を通して前立腺の状態を把握できません。しかし「ロボット支援手術」の経験を積むにつれて、視覚が触覚を補う「仮想触覚」の能力が身につきます。そういう意味でも、経験が重要なのです。

2.一歩踏み込んだ質問をしてみる

そのことで、先生の考え方や姿勢を知ることができます。たとえば「ロボット支援手術で難しい部分はどこですか? その部分をクリアするために、どんな工夫をされていますか?」といった質問をしてみることです。「ロボット支援手術」の質を向上させるために真剣に取り組んでいる先生ほど、さまざまな工夫をしているはずです。

手術用ロボットは
今後、どのように進化していくか

1.ロボットの種類が増える

ダヴィンチは、アメリカの会社が開発した手術用ロボットですが、現在、国産の手術ロボットの開発も進んでいます。さらに今後は、手術用ロボットの種類が増えていくことが予測されます。同時に、胸部用、腹部用といったように用途別のロボットが開発され、より高度な手術ができるようになる可能性があります。

2.機能の充実

今後、シミュレーション機能や評価機能が付加される可能性があります。シミュレーション機能は、パイロットが訓練用に使うフライトシミュレーターのように、トラブル時の対応を学ぶためのものです。評価機能は、医師の操作の内容を解析して評価をする機能です。

2つの機能が実現すれば医師の操作技術が向上して、ロボット支援手術の質が高くなることが期待できます。