メラノーマ、うつ病、脳腫瘍闘病記。三井里美さんがウィッグ愛と教師としての自分らしさを貫き、完全寛解へ。夢と希望の物語を詳しくお届け!
LA Butterflyとは:
LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。
三井里美さん闘病まとめ:
メラノーマ、うつ病、脳腫瘍闘病記:三井里美さんの自分らしさの発見:
三井里美さんのメラノーマ、うつ病、脳腫瘍闘病記は、単なる病との闘いの記録ではなく、自分らしさを見つけ、夢を追い続ける物語です。彼女は、北海道の教員として生徒たちに寄り添いながら、ウィッグを使ったヘアアレンジで個性を表現し、どんな困難にも前向きに立ち向かいました。以下では、彼女がどのように自分らしさを発見し、夢を育んできたかを掘り下げます。
自分らしさの核心:教師としてのアイデンティティー
三井さんにとって、教員であることは単なる職業ではなく、彼女の人生を定義する核です。メラノーマの診断後、ステージⅣへの進行やうつ病の発症といった試練の中でも、「三井先生」としての役割を諦めませんでした。2019年3月の生徒たちの卒業式に間に合うため、治療スケジュールを調整し、職場復帰を果たしたエピソードは、彼女の強い意志を象徴しています。
「生徒たちを見ていると元気をもらえる」と語る三井さんは、教師としての自分を貫くことで、精神的な支えを得ていました。このアイデンティティーは、彼女がメラノーマやうつ病の苦しみを乗り越える原動力となり、闘病中も自分を見失わないための羅針盤でした。
ウィッグ愛:髪を失っても輝く個性
メラノーマの治療で頭皮の拡大切除手術を受けた三井さんは、髪を失うという大きな喪失を経験しました。しかし、彼女はこれを新たな自己表現の機会に変えました。ウィッグ愛好家として、40個以上ものウィッグを収集し、ファッションやメイクと組み合わせることで、闘病中もおしゃれを楽しんだのです。
「ウィッグは安くてかわいいものがたくさんある」と語る彼女は、治療のつらさの中でも楽しさを見つけ出す才能を持っています。ウィッグを通じて、彼女は「病気になっても自分は自分」と胸を張り、闘病生活に彩りを加えました。このポジティブな姿勢は、がん患者にとって大きなインスピレーションを与えます。
夢への情熱:オーロラと子どもへの希望
三井さんの夢は多岐にわたります。頭皮再建手術が成功したら、再びロングヘアでヘアアレンジを楽しみたい。そして、紫外線を避けるため南の島ではなく、北のオーロラを見にカナダへ旅行する計画を立てています。さらに、彼女の最大の夢は、メラノーマ、うつ病、脳腫瘍闘病記を乗り越え、日本初のステージⅣメラノーマ患者として子どもを持つことです。
「子どもが欲しい。メラノーマでも夢をかなえたい」と語る彼女は、受精卵凍結という選択を通じて未来への希望をつなぎました。完全寛解後の1年様子見を経て、来年チャレンジする予定です。この夢への情熱は、彼女がどんな逆境でも諦めない姿勢を示しています。
前向きで力を与える発言や考え:
- 「がんになってもあなたはあなた」: 「がん患者という名札を忘れて、自分がやりたいことを大切にしてほしいと思うんです。」
三井さんは、がんに人生を支配されないよう、自分らしさを保つことの重要性を強調します。教師としての役割やウィッグでの自己表現を通じて、彼女は「自分」を守り続けました。 - 「ウィッグは楽しむもの」: 「髪を失っても、ウィッグでおしゃれを楽しめると思うんです。」
髪を失った悲しみを、ウィッグを使った新たな楽しみへと昇華させた三井さん。この考えは、喪失感をポジティブなエネルギーに変えるヒントを与えます。 - 「夢は今、実現する」: 「いつかやりたいと思うなら、今やるべきだと思うんです。」
和装での写真撮影や家を建てる決断など、彼女は「いつか」を先延ばしにせず、行動に移しました。この姿勢は、限られた時間の中で夢を追い求める勇気を教えてくれます。 - 「周りに支えられている」: 「1人で生きているわけじゃないと気付けたと思うんです。」
闘病を通じて、家族や職場の支えの大きさに気付いた三井さん。この言葉は、助けを求めることの大切さを伝えています。
(がんノート)
三井里美さんの闘病記録:
診断の経緯
- 2018年8~9月: ヘアアレンジ中に頭頂部のつむじに大きなほくろを発見。友人に指摘され、異常に気付く。
- 皮膚科受診: 札幌の個人クリニックで診察。「診切れない」と判断され、大学病院へ紹介。
- 大学病院での検査: 局部麻酔でほくろを切除し、病理検査を実施。メラノーマの権威である医師の判断で、悪性黒色腫(メラノーマ)と診断。
- 告知: 2018年11月、オホーツクでの授業中に電話で「悪性でした」と告知。ステージⅡBと診断。
- 追加診断: 全身検査(CT、MRI、血液検査)で脳腫瘍が判明。ダブルキャンサー(メラノーマ+脳腫瘍)となる。
- 2020年5~6月: 右脇の下にしこり発見。CTで肺、肝臓、骨、皮膚への転移を確認。ステージⅣBに進行。
治療の詳細
- 2018年11月: ほくろ切除手術(局所麻酔)。頭頂部のメラノーマを切除。
- 2018年12月~2019年1月: 急性心不全による緊急入院。造影剤(ガドリニウム製剤)による副作用で肺と心臓に水がたまり、1カ月入院。ステロイド治療で回復。
- 2019年1月: 頭皮拡大切除術。4×6cmの範囲を切除し、左脇腹から皮膚を移植(植皮)。
- 2019年2月: インターフェロン療法(術後補助療法)。リンパ系転移予防のため、3カ月に1度、1週間入院して注射。2年間継続。
- 2019年3~4月: 受精卵凍結。脳腫瘍の潜在的治療(開頭手術、放射線、抗がん剤)に備え、妊孕性温存。札幌とオホーツクを往復し、排卵誘発剤を投与後、採卵を2回実施。
- 2019年8~9月: うつ病治療。再発の可能性を主治医に指摘され、精神的ストレスからうつ病発症。睡眠薬と精神科治療で2~3週間で改善。3カ月休職。
- 2020年6月: **分子標的薬(ビラフトビ・メクトビ)**開始。ステージⅣBの転移に対し、遺伝子型に適合する薬を投与。2~3週間でしこりが縮小。副作用として網膜剝離と腸炎が発生し、休薬と再開を繰り返す。
- 2021年2月: 完全寛解。CTでがんが消失(CR: Complete Remission)。
- 2021年4月~現在: 頭皮再建手術。形成外科で頭皮下にバルーンを挿入し、生理食塩水を週1回注入して皮膚を伸ばす。2回目の手術(2021年9月予定)で頭皮をつなぎ合わせ、はげを解消予定。
H2: メラノーマ、うつ病、脳腫瘍闘病記:メラノーマの医学的説明
メラノーマ(悪性黒色腫)は、皮膚のメラノサイト(色素産生細胞)に由来する悪性腫瘍で、皮膚がんの中でも特に進行が速く、転移しやすい特徴があります。三井里美さんのメラノーマ、うつ病、脳腫瘍闘病記では、頭頂部のほくろがメラノーマと診断され、ステージⅡからⅣへと進行しました。以下に、メラノーマの詳細を解説します。
メラノーマの特徴
- 発生部位: 皮膚(特に日光に曝露する部位)、爪、眼、粘膜など。頭頂部のような非露出部位でも発生可能。
- 疫学: 日本では10万人に1人と希少(三井さんのケースもレア)。欧米では白人に多く、紫外線がリスク因子。
- 症状: ほくろや色素斑の形状変化(非対称、境界不明瞭、色調不均一、直径6mm以上、経時的変化)が特徴。
- 進行: リンパ節や肺、肝臓、骨、脳などへの遠隔転移が早く、予後不良(ステージⅣの5年生存率は低い)。
- 診断: 皮膚生検(病理検査)で確定。遺伝子変異(BRAF変異など)を調べ、治療方針を決定。
- 治療:
- 外科的切除: 早期では原発巣と周囲を広く切除(拡大切除)。三井さんの場合、4×6cmを切除。
- 薬物療法: インターフェロン(補助療法)、分子標的薬(ビラフトビ・メクトビ)、免疫チェックポイント阻害薬など。
- 放射線・支持療法: 転移部位や症状に応じて適用。
参照情報
- 日本皮膚科学会 メラノーマ診療ガイドライン
- URL: https://www.dermatol.or.jp
- 内容: メラノーマの診断基準、治療アルゴリズム、遺伝子検査の重要性を詳細に解説。
- 国立がん研究センター がん情報サービス
- URL: https://ganjoho.jp
- 内容: メラノーマの疫学、症状、治療法の一般向け解説。ステージごとの予後情報も提供。
- American Cancer Society – Melanoma
- URL: https://www.cancer.org
- 内容: メラノーマのリスク因子(紫外線、遺伝)、転移パターン、最新治療の国際的視点。