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がん闘病

中陳香織さんの骨肉腫闘病記:高校生が挑んだがんとの戦いと希望の物語 LA Butterflyまとめ

中陳香織さんの骨肉腫闘病記。高校3年生で発覚した骨肉腫との闘い、治療の苦悩、希望を見出す過程を詳細に紹介。彼女の勇気ある物語を今すぐチェック!

LA Butterflyとは:

LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。

要点パラグラフ:

中陳香織さん(以下、香織さん)は、高校3年生の12月、センター試験を目前に控えた時期に左股関節の痛みに悩まされていました。最初は筋肉痛と軽視していたものの、痛みは増し、足を引きずるほどに。地元の整形外科でレントゲンを撮るも異常は見られず、MRIを勧められ、市民病院へ。さらに異常が疑われ、大学病院で詳しい検査を受けた結果、「骨腫瘍」との診断が下されました。初期には良性と判断され、手術が予定されましたが、術後の病理検査で骨肉腫(osteosarcoma)、悪性の骨腫瘍であることが判明。この誤診から始まる骨肉腫闘病記は、香織さんの人生を大きく変えるきっかけとなりました。

 

骨肉腫闘病記における自分らしさの発見と夢の模索:

  • 自分らしさの発見:香織さんは、闘病中にSNS(当時はmixi)を通じて友人との繋がりを保ち、精神的な支えを得ました。入院生活で周囲が高齢者が多かった中、彼女は自分の若さや個性を意識し、「泣くときは1人で泣く」と決めることで内面的な強さを育てました。この経験から、感情を抑えず、時にはわがままを言ってもいいと学ぶことで、自己主張の大切さに気づきました。
  • 夢への模索:高校3年生という進路を決める時期に病気に見舞われた香織さんは、大学進学を1年休学。闘病中、将来の夢を具体的に描く余裕はなかったものの、「なんとかなる」というシンプルな座右の銘が生まれました。この言葉は、彼女が将来の不確実性を受け入れつつ、前向きに生きるための指針となりました。退院後、大学生活をスタートさせた彼女は、闘病を通じて得た「人に頼ることの大切さ」を胸に、看護や福祉の分野に興味を抱くようになりました。香織さんの骨肉腫闘病記は、夢を追い続けるための土台を築いた物語でもあります。
  • ユニークな視点:香織さんの闘病記には、彼女らしいユーモアと軽やかな語り口が随所に現れます。例えば、ウィッグの手入れが面倒だったエピソードや、ニット帽型のウィッグに憧れた話は、若い女性ならではの視点で、闘病中も「自分らしさ」を失わない姿勢を象徴しています。

骨肉腫闘病記:辛かったこととその克服:

  • 辛かったこと
    • 抗がん剤の副作用:特にシスプラチン(cisplatin)による副作用が強烈で、初回投与時には「七転八倒」の苦しみを味わいました。吐き気や倦怠感が続き、朝起きるだけで「疲れた」と感じる日々。イメンド(aprepitant)などの制吐剤を使用しても、保険適用外になると効果が落ち、身体的負担が増しました。
    • 精神的な孤立感:6人部屋の入院生活では、周囲が高齢者ばかりで同世代との交流が少なく、友人が新たな生活を始める中での疎外感が大きかった。また、病状を周囲に説明することへの気まずさ(「若いのに」と驚かれる)もストレスに。
    • 環境の重さ:一時的に重症者部屋に移された際、静寂と重い雰囲気に耐えきれず、精神的な負担が増加。
  • 克服の方法
    • 医療スタッフの工夫:シスプラチンの投与方法(時間や順番)を主治医が調整したことで、副作用が軽減。香織さんは「先生は偉大」と感謝し、医療チームへの信頼を深めました。
    • 家族の支え:母親は介護休暇を取り、毎日40分の距離を車で通い、食事や精神的なサポートを提供。父親も自宅で病状を伝える際、香織さんの気持ちを尊重する姿勢を見せました。
    • SNSでの繋がり:mixiや長電話で友人との交流を保ち、孤立感を軽減。闘病中の小さな楽しみとして、友人との繋がりが心の支えに。
    • 自己主張の学び:我慢せず看護師に要望を伝えることで、環境改善(6人部屋への移動)や生活の質向上を実現。香織さんは「わがままを言ってもいい」と気づき、ストレス解消に繋がりました。

(がんノート)

診断と治療の詳細:

  • 診断プロセス
    • 初期症状:201X年12月、左股関節の痛み。筋肉痛と自己判断し放置。
    • 整形外科受診:地元クリニックでレントゲン撮影(異常なし)。湿布処方も効果なし。
    • 市民病院:MRI撮影で異常が疑われ、大学病院への紹介状発行。
    • 大学病院:201X年1月、MRIと診察で「骨腫瘍」と診断。初期は良性と判断。
    • 術後診断:センター試験後(2月)に腫瘍摘出手術。術後の病理検査で骨肉腫(悪性)と判明。
    • ステージ:転移なし、リンパ節転移なしでステージIまたはII(詳細は曖昧)。
  • 治療プロセス
    • 初回手術(2月):良性と誤診されたため、股関節(大腿骨頭)の腫瘍を摘出。術後、悪性と判明し、追加治療が必要に。
    • 抗がん剤治療(2月~5月):シスプラチン、メトトレキサート(methotrexate)、ドキソルビシン(doxorubicin)などを併用。腫瘍縮小を目的に実施。副作用(吐き気、倦怠感)が強く、制吐剤(イメンド)を使用。
    • 2回目手術(5月):広範囲の骨(骨盤近傍)を切除。悪性腫瘍の再発防止を目指す。
    • 追加抗がん剤治療(5月~11月):数クール実施。副作用は初回より軽減(投与方法の工夫)。
    • 入院期間:高3の2月~11月(約9か月)。週末外泊やお盆の帰宅あり。
    • CVポート:長期間の点滴投与のため、胸部にカテーテルを挿入。
  • 治療の特徴
    • 骨肉腫の標準治療として、抗がん剤と手術の併用(化学療法+外科的切除)。
    • 誤診による初回手術が治療計画を複雑化。悪性の場合、広範囲切除や術前化学療法が推奨される。
    • 副作用対策として、投与スケジュールの調整が効果的だった。

香織さんの骨肉腫闘病記は、診断の遅れや誤診を乗り越え、専門的な治療で希望を見出した物語です。


骨肉腫とは?医学的な解説と参照情報

**骨肉腫(osteosarcoma)**は、骨に発生する悪性腫瘍(がん)で、主に10~20代の若年層に多く見られます。骨を形成する細胞(骨芽細胞)が異常増殖し、骨や周辺組織に浸潤する特徴があります。香織さんの骨肉腫闘病記でも、股関節(大腿骨頭~骨盤)に発生し、初期の誤診が治療を複雑化しました。

  • 疫学
    • 発症率:年間10万人あたり1~3人(稀少疾患)。
    • 好発年齢:10~20代(成長期の骨に多い)。香織さんは18歳で発症。
    • 好発部位:膝周辺(脛骨、大腿骨)、股関節、上腕骨。
  • 症状
    • 局所疼痛:初期は運動時や夜間に痛み。香織さんのように筋肉痛と誤認されやすい。
    • 腫脹:腫瘍の成長によるしこりや腫れ。
    • 機能障害:関節の可動性低下や骨折。
  • 診断
    • 画像検査:レントゲンで骨の異常(骨破壊や骨形成)を確認。MRIやCTで腫瘍の範囲や転移を評価。
    • 生検::腫瘍や組織を採取し、病理検査で悪性を確認。香織さんの場合、術後病理検査で骨肉腫と判明。
    • ステージング::転移の有無でステージI~IVに分類。香織さんは転移なしでステージIまたはII。
  • 治療
    • 化学療法::シスプラチン、メトトレキサート、ドキソルビシンを併用。術前(ネオアジュバント療法)で腫瘍縮小、術後(アジュバント療法)で再発予防。
    • 外科的切除::腫瘍と周辺骨を広範囲に切除。香織さんの2回目手術では骨盤近傍を切除。
    • 放射線療法::骨肉腫は放射線感受性が低いため、補助的に使用(香織さんのケースでは未使用)。
    • 予後::5年生存率は60~70%(転移なしの場合)。早期発見と適切な治療が鍵。
  • 参照情報
    1. 国立がん研究センター「骨軟部腫瘍」
      URL: https://www.ncc.go.jp/jp/information/patient_support/disease/bone_soft_tissue.html
      内容:骨肉腫の疫学、症状、診断、治療の概要を参照。香織さんの症状(股関節痛、誤診)や治療(化学療法+手術)が標準的であることを確認。
    2. 日本整形外科学会「骨肉腫」
      URL: https://www.joa.or.jp/public/disease/bone_tumor_osteosarcoma.html
      内容:骨肉腫の好発部位(股関節など)や診断(MRI、生検)の詳細を参照。香織さんの診断プロセスと一致。
    3. American Cancer Society “Osteosarcoma”
      URL: https://www.cancer.org/cancer/osteosarcoma.html
      内容:治療(シスプラチンなどの化学療法、広範囲切除)の効果や副作用を参照。香織さんの副作用(吐き気、倦怠感)の説明に活用。