LA Butterfly

【乳がん闘病】第一話:ステージ4からの生還 漫画家たみふる/白戸ミフルさん LA Butterfly

【乳がん闘病】第一話 ステージ4からの生還 漫画家たみふる/白戸ミフルさん LA Butterfly

LA Butterflyとは:

LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。
ステージ4乳がんをきっかけに漫画家になった、恋愛ドキュメントバラエティー『あいの里2』 (Netflix Japan)でもお馴染みの”たみフル”こと、白戸ミフルさんのインタビューです。
たみフルさんの闘病中の方へのメッセージのまとめはこちら。

乳がんのカミングアウトのきっかけ

「乳がんになってから前向きになりました。」そうはつらつと話すのは乳がんを経験した白戸ミフルさん。
会社員として働く側、乳がんをきっかけに漫画家という幼い頃からの夢を実現させた白戸ミフルさんは、乳がんという病気を患っているという状況には見えなかった。

普段、映画・ドラマや小説などで描写される癌や乳がんに対する見方は、非常に悲観的な偏見を私たちに植え付ける。しかし、世の中の多くの癌患者は、白戸ミフルさんのように、癌でない人となんら変わらない生活を送っている人が多く存在するのだ。

白戸ミフルさんの漫画「乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行きまくって救われた話」でも、彼女は治療と生活だけでなく恋愛も娯楽も両立させている様子が伺える。
今回インタビューでは、友人・知人に乳がんを告白した時の心境や、告白において白戸ミフルさんが当時、相手に求めた理解とは何だったのかを伺った。

白戸ミフル

白戸ミフル(Mifuru Shirato) プロフィール

会社員・恋愛コラムニスト・漫画家。
20代前半はタレント業、ゲーム・出版・広告とマスコミ系を渡り歩き、現在は化粧品メーカーに勤務。2015年夏に漫画家・ライターデビューし、会社員と2足のわらじで爆進中。
著書に
合コンアンドザシティ』(電子書籍)
乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行きまくって救われた話』(キノブックス)など。

オフィシャルブログ アラフォー闘病&婚活記
Twitter @takara0722
Instagram @takara0722

普段の生活の中で、癌/乳がん患者の方に会う機会は多いのでしょうか?

偶然といった形で出会う機会は少ないですね。ですが、知らぬ間に自分が思っている以上に癌患者の人と会っているとは思います。というのも、私が乳がんになった時に、何人かの友達に自分が乳がんである事を打ち明けたんです。

その時に驚いたのが、「実は私も・・・」という友人が結構いたんですよね。

以前は私も自分が乳がんである事をカミングアウトするのをためらっていて、気持ちはわかるので、自分が癌や乳がんであることを言えないでいる人って意外と多いと思いますよ。

自分が乳がんである事実を周りに打ち明けることをためらってしまった理由って何でしょうか?

私がカミングアウトする事をためらっていた理由は、乳がんである事を伝えたことによって、心配されたりするのがわかっているので、心配かけたくない・変な気を遣わせたくないって理由でしたね。また、対恋愛の相手や異性とかに乳がんをカミングアウトした時に、若干引かれたりする素振りとかも、正直あったので・・・。主には、その二つですかね。

あとは、相手もカミングアウトされたことによって何を言えばいいかわからない、と言われることが多々あったんですけど、乳がん患者である自分でも、その気持ちすごいわかるんですよね。だからこそ、打ち明けることをどうしてもためらっていた時期がありました。

漫画でも乳がんをカミングアウトされていますが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

やっぱり根治に向かっているっていうことが関係しているのかなぁって今では思いますね。
初期の頃って漫画にも描いているように、乳がんが治るかわからなかった状況で、その時は本当に怖くて不安で、その時付き合ってた彼氏ぐらいにしか言えなかったです。

乳がんサバイバー

 

周りに乳がんをカミングアウトをしたあとで、普通の人と異なった扱われ方をされてしまう空気について、どう感じましたか。また、その空気はどういう時に特に感じましたか。

先ほども話したように、私はあまり多くの人に自分が乳がんであることを伝えていなかったんです。自分の根治が見えてきた2017年の8月ぐらいに初めて、普段仕事で寄稿している媒体に顔出しで乳がんについて記事を書きましたね。これが私の大々的なカミングアウトでした。

その頃は自分が乳がんの治療を始めて4年目ぐらいの時で、ほぼ根治が見えていた頃だったのと、小林麻央さんがちょうど乳がんで亡くなった時期でもありました。小林麻央さんが自身の乳がんや闘病生活について色々と発信をしていたので、私にも一乳がん患者として、何かできる事がないかと思って顔出しで記事を書くことにしたんです。

その記事がYahooのトップニュースにずっと掲載されていたので、乳がんであることを伝えていなかった友人達からその記事を見て、たくさん連絡がきましたね。その連絡の内容も、記事では、根治に向かっている内容を書いているにも関わらず「死んじゃうの?」みたいに言わんばかりの、連絡内容だったんです。

その時に感じたのは、「乳がんに対する認知ってこのレベルなんだな」って思いましたね。私も自分が乳がんになる前は、誰かから癌だという話を聞いたら「えっ、死んじゃうの?」ってすぐ思っていたんで、それが普通の反応なんだろうなって思います。だけど実際自分が癌である立場になってみると、致し方のないこととはわかっていても、こんなに温度差があるのかと、思い知りましたね。

あと、カミングアウトをした時に、中には「余命はどのくらいなの?」とか遠慮なく普通に聞かれたりすることもあったんですけど、その時はびっくりしましたね(笑)。

センシティブな話題なので、この質問は乳がん患者との会話では相当KYだなぁと思いましたね。

加えて、びっくりしたのは「癌の人=余命何日」という認識が当たり前であるということでしたね。
というのも余命というのはすぐに決まるものでもないけれど、癌患者でない人だって同じように、明日自分が無事に生きてる保証なんて誰にもないじゃないですか。
強いて言えば「余命」なんて、具体的にわからないだけで、誰にでもありますからね。

カミングアウトした後で嬉しかったのは、その子なりに、癌には何々が良いってみたいなのを調べてくれて、その食べ物をプレゼントしてくれたりとかは、素直に嬉しかったですね。やっぱり友達なので、基本的には気を使いすぎないで欲しいし、態度とかは変えないでほしいんですけど、そういうちょっとした優しさがあると、すごい嬉しかったです。
あと、乳がんになってから、人の優しさっていうのを身に染みて感じるようになりましたね。

カミングアウトする時に何を思ってカミングアウトしているんですか?

すごくベタですけど、カミングアウトした相手に対して身体を大事にして欲しいって言う気持ちが大きいですね(笑)。
私は乳がんになって、いろんな人に迷惑をかけてきたので、健康でいることってそれだけで、周りの人たちに対する愛情なのかなって思います。

あと、やっぱり私自身乳がんになってから、今までできなかったこと、やりたかったけどやってこなかったこととかにチャレンジしています。漫画家になりたいっていう子供の頃からの夢を叶えたりもしました。乳がんになってから描き始めて、最終的には漫画家としてデビューもできたんです。
癌患者だからといってできないことはないし、夢を諦める必要もないと思うんです。

乳がんと診断されて治療している間でも、ウィッグを被って海外旅行にも行きましたし、合コンにだって散々行って、お酒も飲んで・・・めちゃめちゃ破天荒な生活は、多少自分の身体に気を遣うようになったとはいえ、そんなに劇的に変わりはしなかったです。

癌患者だからって、乳がんと診断される前の私と何一つ変わらないし、むしろ乳がんになってからもっと前向きになりました。
もともとアクティブな性格もあるんですが、ある時点から前よりももっとアクティブになったと思います(笑)。