西田久美子さんが乳がんと診断されたとき、彼女の人生は一変しました。小学校教師として子どもたちに知識と優しさを届けることが生きがいだった彼女にとって、病は「これまでの自分」を奪うような衝撃でした。しかし、闘病を通じて、西田さんは自分らしさとは何か、そしてこれからの夢を追い求める旅に出ました。入院中、読書が心の支えとなり、特に重松清の『流星ワゴン』(Amazon)に深い感銘を受けました。この本は人生のやり直しや家族との絆を描いており、彼女に「生きている間に何を残したいか」を考えさせました。ベッドの上でノートに思いを綴りながら、西田さんは「自分にしかできないことをしたい」と決意。治療後も、同じ境遇の人々を支える活動を始める夢を抱くようになりました。乳がんは彼女に人生の有限さを突きつけましたが、同時に、自分らしい生き方を見つけるきっかけにもなったのです。彼女は「病気にならなければ気づかなかったかもしれない」と振り返ります。教師としての優しさや人を支える力を再発見し、患者会「つばなの会」を立ち上げる夢を具体化させていきました。闘病中も周囲を励まし続けた西田さんの姿は、まさに「自分らしさ」の結晶。彼女の夢は、同じ病の人々に希望を届けることであり、乳がんを経験した西田久美子だからこそ伝えられるメッセージがあると信じています。治療の合間に見つけた小さな喜びや、子どもたちへの思いが、彼女を支える力となりました。西田さんにとって、自分らしさとは「人を支えること」。その信念が、闘病を乗り越える原動力となり、未来への夢を形作っていったのです。