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がん闘病記

「精巣外胚細胞腫瘍 闘病記:岸田徹さんの胎児性がんとの戦いとがんノートの使命」LA Butterflyまとめ

「精巣外胚細胞腫瘍 闘病記を綴る岸田徹さん。胎児性がんとの闘い、抗がん剤、二度の手術、再発を乗り越え、がんノートで患者を支える彼の人生とは?」

LA Butterflyとは:

「精巣外胚細胞腫瘍 闘病記を綴る岸田徹さん。胎児性がんとの闘い、抗がん剤、二度の手術、再発を乗り越え、がんノートで患者を支える彼の人生とは?」

LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちが『自分らしさ』を見つけ、力を得たストーリーを届けるプラットフォーム。さなぎから蝶へと羽ばたくイメージを込め、彼らの言葉、学び、おすすめアイテムをまとめ、希望と勇気を共有します。

岸田徹さん闘病まとめ:

精巣外胚細胞腫瘍 闘病記として知られる岸田徹さんの人生は、25歳で希少ながん「胎児性がん」に直面し、抗がん剤治療、二度の首の手術、再発を乗り越えた壮絶なものです。精巣外胚細胞腫瘍は通常精巣に発生する胚細胞腫瘍が別の部位で発症するまれなケースで、岸田さんの場合、首の腫れから診断されました。胚細胞の移動失敗が原因とされるこのがんとの闘病を糧に、彼は「がんノート」を立ち上げ、がん患者に希望と情報を届ける活動を続けています。闘病記を通じて見える彼の強さとユーモアは、多くの人々に勇気を与えています。

精巣外胚細胞腫瘍 闘病記:自分らしさの発見と夢:

岸田徹さんの精巣外胚細胞腫瘍 闘病記は、単なるがんとの戦いの記録を超え、自分らしさを見つける旅でもあります。大学時代に世界一周を経験し、IT企業で充実した社会人生活を送っていた25歳の彼に、突然の試練が訪れました。首の腫れから始まった診断で、精巣外胚細胞腫瘍の一種である胎児性がんが判明。抗がん剤治療や二度の首の手術、再発を経験する中で、彼は人生の価値や目的を問い直しました。

闘病中、岸田さんは若年層のがん患者(AYA世代)向けの情報が不足していることに直面します。治療の過酷さに加え、将来への不安や社会復帰の難しさに悩みながらも、彼はこの苦難を社会に還元する力に変えました。それが「がんノート」の設立に繋がります。精巣外胚細胞腫瘍 闘病記を通じて、彼は「がんをオープンに話せる社会を作りたい」という夢を見つけました。海外のがん患者の情報も取り入れ、日本の患者に希望を届けることを目指しています。「がんがなければ気づけなかったやりたいことに出会えた」と語る岸田さんの言葉には、逆境を成長の糧とする力が宿っています。

『がん患者力』(佐藤泰子 編著)(Amazon)
 岸田さんが情報不足に苦しんだ経験に共感する本。患者のリアルな声が集まり、彼の「一人じゃないよ」というメッセージに通じます。闘病初期にこんな本があれば、心の支えになったかもしれません。

前向きで力を与える発言や考え:

  • 「ユーモアって大事」:「闘病中も笑える場面を作りたいと思うんです。笑うことで気持ちが軽くなるから。」
  • 「今を楽しまなきゃ損」:「がんになって時間の大切さを知ったからこそ、そう思うんです。毎日が貴重だよ。」
  • 「一人じゃないよ」:「同じ悩みを抱える仲間がいることを伝えたいと思うんです。孤独を感じなくていい。」
  • 「見通しとなる情報が大事」:「患者さんが未来を描ける手助けをしたいと思うんです。知ることが力になる。」
  • 「やりたいことに気づけた」:「がんが人生の転機を与えてくれたと思うんです。悪いことばかりじゃない。」

(がんノート)
「がんノート」は岸田さんが2014年に始めたNPO法人で、がん経験者の声を届ける活動です。

  • 設立:自身の闘病と再発経験から。「患者側の情報」を届けたいとの思いで開始。
  • 活動内容:がん経験者にインタビューし、YouTubeで生配信。テーマは仕事、お金、恋愛など日常視点。
  • 規模:400人以上が出演し、世界最大級のがん患者インタビュー番組に成長。
  • 目的:情報不足を解消し、「一人じゃない」と伝えること。海外の情報も取り入れ、日本の患者に還元。

岸田徹さんの闘病記録:

  • 診断の経緯
    • 25歳の時、首に腫れを発見。最初は風邪か疲れと思い放置していたが、続く違和感で受診。
    • 病院でCTや生検を行い、精巣外胚細胞腫瘍の一種である胎児性がんと診断。
    • 精巣ではなく首に発生した精巣外ケースで、IT企業勤務中の突然の発症だった。
  • 治療の詳細
    • 抗がん剤治療:3か月間実施。吐き気や倦怠感が強く、髪がクセ毛に変化(「抗がん剤パーマ」とユーモアで表現)。
    • 1度目の首の手術:首のリンパ節に広がった腫瘍を切除。手術は5時間近くかかり、術後は首の動きが制限され、リハビリが必要だった。
    • 2度目の首の手術:初回手術後に残った組織や再発リスクを減らすため実施。約3時間の比較的小規模な手術で、回復は早かったが、再発への不安が大きかった。
    • 再発:治療終了から約2年後、首に新たな腫れを発見。検査で胎児性がんの再発と判明。抗がん剤は追加せず、手術で対応。再発時の精神的ショックは大きく、「また闘うのか」と葛藤したが、周囲の支えで前向きに臨んだ。
    • 経過観察:現在は3~6か月ごとの定期検査を受け、再発の兆候がないか確認中。

精巣外胚細胞腫瘍は胚細胞が起源のがんで、岸田さんの場合は胎児性がんとして発症しました。

  • なぜ胎児性がんというのか
    胎児性がん(Embryonal Carcinoma)は、胚細胞が胎児期の未熟な細胞に似た形態で増殖するためです。顕微鏡で見ると、胎児の初期組織を模倣した無秩序な細胞塊が特徴で、他の胚細胞腫瘍(例:セミノーマ)より分化度が低く、悪性度が高いです。この名称は、がん細胞が胎児のような未成熟な状態を保つことに由来します。岸田さんの首に発生した腫瘍もこのタイプで、急速な増殖と転移リスクが確認されました。
  • 胚細胞の移動失敗とは
    胚細胞は胎児期に体の中心線(中軸)に沿って移動し、精巣や卵巣に到達します。この移動は妊娠6~8週頃に起こり、ケモカイン(化学的誘引物質)や細胞間シグナルに導かれます。しかし、遺伝的変異やホルモン異常でシグナルが乱れると、胚細胞が正しい目的地に届かず、首、縦隔、後腹膜、脳などに取り残されます。例えば、首への迷入は移動経路の中間地点で止まった結果と考えられます。これが「移動失敗(migration error)」で、数年から数十年後に何らかのきっかけで異常増殖を始め、精巣外胚細胞腫瘍となります。岸田さんのケースもこのメカニズムが関与したと推測されます。
  • 特徴:多能性を持ち、皮膚や毛髪などに分化可能。
  • 発生率:胚細胞腫瘍の約5%が精巣外で、胎児性がんはその一部。
  • 症状:首の腫れ、胸痛、息切れなど。
  • 治療:化学療法、手術が主。再発リスクも考慮。

『Robbins Basic Pathology』

『Kumar and Clark’s Clinical Medicine』

「Extragonadal Germ Cell Tumors: A Review」