長谷川一男さんの肺がん闘病記は、単なる病との闘いを超え、自分らしさや人生の目的を再発見する旅でもあります。44歳のテレビディレクターとして活躍していた彼は、2010年に肺腺がん（ステージ4）と診断され、余命10か月を宣告されました。しかし、彼は諦めず、治療を重ねながら家族や仕事への情熱を糧に生き続けました。この過程で、長谷川さんは「闘うこと」を選択し、自分が本当に大切にしたいものを見つめ直しました。

特に印象的なのは、セカンドオピニオンの医師から「闘いなさい」と言われた瞬間です。この言葉は、長谷川さんに「がんと向き合う」だけでなく、「自分の人生を主体的に生きる」ことの重要性を気づかせました。肺がんの治療中、彼は身体的な限界や副作用に苦しみながらも、子どもを育てる父親としての役割や、テレビディレクターとしてのクリエイティブな情熱を失いませんでした。仕事に復帰した際、かつての自分を思い出した瞬間は、彼にとって「自分らしさ」の再確認でした。

長谷川さんの夢は、肺がんに縛られず、自分が描く人生を生きること。5年間の闘病で仕事ができなかった時期も、家族や友人からのサポートを受けながら、経済的な不安を乗り越えました。彼は「がんは自分がどう生きるかとあまり関係がない」と語り、病気を超えて自分の価値を追求する姿勢を示しています。この考えは、肺がん患者だけでなく、人生の困難に直面するすべての人に勇気を与えます。