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手術

 

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内視鏡治療

大腸早期がんの内視鏡治療は、ポリペクトミー、内視鏡下粘膜切除(EMR)、内視鏡下粘膜下層切開剥離術(ESD)に分けられます。適応となるのは、がんの深さが粘膜内であるものと、粘膜下層の浅い層にとどまるものです。

ポリペクトミー
茎のあるタイプのポリープや腫瘍の場合に、茎にスネア(金属の輪)をかけて締め、高周波電流を流して切除する方法です。最近は専用のスネアを用いて、通電せずにポリープを切除する「コールドスネア・ポリペクトミー」もよく行われるようになっています。茎が太いなどの理由で、切除時に出血しそうなポリープの場合は通電で、そうでない場合は通電なしで行うことが多いです。通電なしで行うことができると、出血や穿孔の危険性が若干低いといわれています。

内視鏡下粘膜切除(EMR)
茎のないポリープや腫瘍に対して、粘膜下層に注射して病変を浮き上がらせ、スネアをかけて高周波電流を流して切除する方法です。

内視鏡下粘膜下層切開剥離術(ESD)
茎がなく横方向に広がるポリープや腫瘍に対して、粘膜下層に注射して病変を浮き上がらせ、粘膜下層を高周波ナイフで少しずつ切開剥離し、腫瘍を切除する方法です。

内視鏡治療のリスク
ポリペクトミーやEMRは数分で施行可能ですが、ESDは数十分~数時間かかることが多く、高度な技術が必要です。
内視鏡治療は出血や穿孔のリスクがありますが、それらのリスクは通常ESD>EMR>ポリペクトミーの順で高いです。
出血は血便が出るので、内視鏡による止血や輸血が必要になったりします。
穿孔は、絶食と抗生剤でよくなる場合と、緊急手術が必要になる場合があります。

内視鏡治療のメリットとデメリット
内視鏡治療は手術と比較して、腹部を切る必要がない、腸管の切除・吻合がないので手術に伴う後遺症(縫合不全や腸閉塞など)がない、通常全身麻酔が不要、というメリットがあります。
デメリットは、周囲のリンパ節が切除できないことで、切除後の病理結果で、リンパ節転移の可能性が示されると、リンパ節郭清を伴う追加腸切除を勧めることがあります。
その条件は、次のようなものです。
①がんが粘膜下層に1000マイクロメートル以上浸潤
②低分化腺がん・未分化がん
③がんのリンパ管侵襲、静脈侵襲が見られる
④がん先進部でがん細胞がばらばらに浸潤する所見である蔟出(ぞくしゅつ)のグレードが2~3
⑤内視鏡切除検体の深部断端が陽性これら5つの1つでも当てはまるものは、リンパ節転移の可能性があり、追加腸切除を勧めます。

手術

①結腸がん手術
結腸がんに対する手術は、腫瘍の部位の口側と肛門側の腸管を、腸に向かう血管の分布に従って通常5~10センチずつ切除し、同時に腫瘍に向かう血管に沿うリンパ節を周囲脂肪と一緒に切除します(リンパ節郭清)。続いて残った腸管をつなぎ合わせます。

1)結腸がん手術中の偶発症
出血、他臓器損傷などがあります。結腸がん手術は出血が多い手術ではありませんが、思わぬところから出血して輸血が必要になることがあります。結腸周囲の他臓器を誤って傷つけて、対応に時間がかかることもあります。

2)結腸がん手術後の合併症
手術に直接関係するものと、間接的に関係するものに分けられます。
前者には、縫合不全、腸閉塞、術後出血、創感染、腹壁瘢痕ヘルニアなどがあり、後者には肺炎、心筋梗塞・脳梗塞、肺血栓塞栓症、心不全・腎不全・肝不全などがあります。
間接的な合併症は大腸がんだけでなく、全身麻酔で手術をする場合、ある一定の確率で誰にでも起こりうる合併症です。

【手術に直接関係するもの】
縫合不全
腸のつなぎ目がほころびることで、便が漏れて腹膜炎を起こして緊急手術となったり、人工肛門が必要になったりする可能性があります。結腸切除では起こる可能性が1%前後と高くありません。
腸閉塞
腸の通りが悪くなることで、便やガスが出なくなってお腹が張って痛み、吐くという症状が出ます。手術自体の影響で腸の動きが悪くなることや、傷が治癒するときに組織同士がくっつく「癒着」が原因です。
手術から1カ月以内に起こることがほとんどですが、まれに何年も経って起こります。
術後出血
ごくまれに起こり、輸血や再手術が必要になることがあります。吻合部から出血することもあり、出る量が多いと内視鏡を使って止血処置を行うことがあります。
創感染
傷に細菌がついて膿が出て治りが悪くなることです。予定手術だと可能性は5%前後ですが、緊急手術の場合はもう少し高くなります。
腹壁瘢痕ヘルニア
手術後しばらく経ってから、立つと傷が膨らみ、横になると元に戻るもので、筋膜が弱くなることで起こります。その緩い場所から腸や腸のまわりの脂肪が皮膚の下まで飛び出します。ごくまれに飛び出したまま戻らなくなって痛み、緊急手術が必要になることがあります。

結腸がんに対する腹腔鏡下手術
結腸がんに対して、近年は腹腔鏡手術がよく行われます。20~30センチほどお腹を切る開腹手術に対して、5~12ミリの傷を5カ所前後つけて腹腔鏡を入れて、画像をモニターで見ながら細長い道具で手術します。切除した腸を取り出すために、1カ所(通常は臍の傷)を4~6センチほどに広げます。1つひとつの傷が小さいので痛みが少なく、術後の回復が早いですが、手術時間は開腹手術より長くなるといわれています。がんの治癒率は開腹手術と変わらないとされています。横行結腸がんの腹腔鏡手術は難易度が高いです。

②直腸がん手術
結腸がん手術と同様に、腸管切除とリンパ節郭清を行いますが、少し違います。腸管切除の長さは、口側は結腸と変わりませんが、肛門側は必要以上に長く切除すると排便機能が悪くなるので、直腸S状部から上部直腸では3センチ程度、下部直腸では2センチ程度離して切除します。肛門に近いがんの場合は1センチ程度しか距離が取れないこともありますが、その場合には、手術中に顕微鏡検査(迅速病理検査)をして、切った部位に腫瘍がないか確認することがあります。

1) 側方リンパ節郭清
下部直腸がんでは、左右の骨盤の壁にある側方リンパ節に転移することがあり、それを切除する「側方リンパ節郭清」を行う場合があります。骨盤内の再発を減らすと証明されており、日本のガイドラインは下部直腸の進行がんには行うことを勧めています。しかし、手術中の出血量が増え、後遺症(排尿機能・性機能の障害)が増える可能性があり、全例には行わない施設もあります。日本で発展した手術で、海外ではあまり行われていません。

2) 人工肛門(ストマ)
直腸がんの手術で問題になるのが人工肛門です。機械ではなく、引き出した腸を腹壁に縫いつけます。自分の意思と関係なく便が出るので、パウチ(袋)を皮膚に貼りつけて便を受けます。パウチは約3日に1回貼り換えます。漏れがなく、食べるものに気をつければ、匂いの問題も少なく、そのまま入浴も可能です。パウチを覆う専用の入浴用シートもあります。

3) 永久人工肛門と一時的人工肛門
永久人工肛門は、一生、人工肛門にする場合で、多くは腫瘍を取り切るために肛門括約筋を切除した場合に行います。排便が頻繁になると予想され、体が不自由ですぐトイレに行けない人や、他の病気でつなぎ目が治癒しにくい場合も、永久人工肛門とすることがあります。永久人工肛門は、便処理のしやすさや脱水になりにくいことから、大腸の人工肛門にする場合が多いです。

一時的人工肛門は、直腸がん手術で肛門温存手術をしたけれども、すぐにつなぎ目に便が通ると縫合不全が起こる危険性が高い場合に行います。多くは吻合部が肛門にとても近い場合や、術前に化学療法や放射線療法を行った場合です。一時的人工肛門はいずれ閉鎖することから、閉鎖手術がやりやすい小腸で作ることが多いです。
人工肛門にするかどうかは、診察と検査で決まります。病院や外科医によって意見が分かれることがあります。

4) 縫合不全と再発
直腸がんの手術では、結腸がんと比べて、縫合不全や局所再発の可能性が高いといわれています。縫合不全は、つなぎ目が肛門に近いほど、また術前に化学療法や放射線療法を行うと起こりやすくなります。縫合不全は結腸がんでは1%前後ですが、直腸がんでは5~10%といわれています。局所再発は、結腸がんの0.7%に対して、直腸がんでは4.1%です。(大腸癌研究会の全国データによる)

直腸がんは、周囲に重要臓器が多く広めに切除しにくいこと、骨盤内が狭くて手術が難しいことなどがその原因と考えられています。進行直腸がんの局所再発を少なくするために、さまざまな治療が行われていますが、日本と欧米ではアプローチが違います。欧米では、手術前に化学放射線療法を行うのに対して、日本では、手術時に左右の骨盤壁のリンパ節を切除する側方リンパ節郭清を追加するという違いがあります。

③直腸がんの腹腔鏡手術とロボット支援下手術腹腔鏡手術
直腸がんでも腹腔鏡手術は多く行われています。結腸がんと同じように、術後の回復が早いとされています。しかし腫瘍が肛門に近いほど技術的に難しいとされており、海外の研究では、がんを取り去るという点においては「開腹手術と同等だった」という結果と、「手術の質が落ちる可能性がある」という異なる結果が出ています。ただし、「術後の再発率は差がなかった」と言う結果がほとんどです。
近年ハイビジョン腹腔鏡や3D腹腔鏡などが登場し、肉眼よりも細かく見て、より正確な手術ができるという意見もあります。

ロボット支援下手術
直腸がんのロボット支援下手術も、2018年4月から保険適応になりました。この手術も、小さな傷でカメラをお腹に入れて行うので、腹腔鏡手術の一種といえます。腹腔鏡手術は、基本的には真っ直ぐな鉗子(かんし)で行うのに対して、ロボット支援下手術では、多関節で曲がる鉗子で手術を行います。

腹腔鏡では狭い骨盤内での手術は難しいのですが、ロボットで、より行いやすくなりました。国内外の研究では、腹腔鏡手術に比べて成績が優れているという結果はまだあまり出ていませんが、今後、よりよいロボットが出て、技術も改善することにより、いい成績が報告される可能性があります。

LA Butterflyとは:

LA Butterflyは、ロサンゼルス発信のがんサバイバーたちによってデザインされた日米仏対応プラットフォームです。その名前に込められたのは、さなぎの中から美しい蝶として羽ばたくイメージ。治療内容や医学的な情報よりも、サバイバーたちがどのように自分らしさを発見し、それを力に変えてきたかに焦点を当てています彼らの言葉、学び、そして日常生活を支えたアイテムを共有することで、同じ道を歩む人々に希望と勇気を届けます。各サバイバーのストーリーは、時には本人へのインタビューを通じて深く掘り下げ、リアルで心に響くメッセージを届けます。LA Butterflyは、がんとの闘いの中で自分らしさを見つけ、輝き続ける人々の物語を紡ぐ場所です。

 

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