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メスを入れずに治療できる「放射線療法」

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放射線療法は、がんがある部分だけを治療する「局所療法」のひとつです。同じ局所療法である手術療法と比べると、体にメスを入れずに治療できるという特徴があります。

放射線が効果を発揮する理由とは?

放射線を使うことで、体にメスを入れずに治療ができるのは、放射線には「電離作用」と呼ばれる性質があるからです。放射線が体内を通過する際、放射線の電離作用によってがん細胞のDNAが破壊されます。その結果、がん細胞が死滅するのです。

放射線療法は、どのような場合に行われる?

膀胱がんの放射線療法は、次の3つの場合に行われます。

1) 手術を行うことが難しい場合

筋層浸潤性膀胱がんでは「膀胱全摘除術」が標準治療ですが、高齢、持病があるなどの理由で膀胱全摘除術を受けることが難しい場合があります。このような場合、代わりに放射線療法行うことがあります。

2) 膀胱温存療法を行う場合

筋層浸潤性膀胱がんの患者さんで、いくつかの条件を満たす場合、膀胱を残す「膀胱温存療法」が行われることがあります。膀胱温存療法では、一般的にTURBTを行って可能な限り膀胱がんを切除した上で、放射線療法と化学療法を組み合わせた化学放射線療法を行います。詳しくは、「10 筋層浸潤性膀胱がんの治療法 膀胱温存が可能な「膀胱温存療法」とは?」をご覧ください。

3) 症状の緩和

膀胱がんが骨などに転移した際、症状を和らげるために放射線療法が行われることがあります。

放射線療法はどのように行われる?

1) 治療方針決定

泌尿器科の医師と、放射線療法を担当する「放射線腫瘍医」が患者さんを診察。画像検査や血液検査などの情報と、膀胱がんのステージや全身の状態も合わせて治療方針を決めます。患者さんと相談をして、同意が得られたところで治療がスタートします。

2) 治療計画用のCT撮影

「治療計画」とは、どの方向から、どのくらいの線量の放射線を照射するかを決めることです。そのためには、がんと正常な組織の位置を正確に把握する必要があるので、CT撮影を行います。また、放射線治療の際の目印にするため、皮膚に印をつけます。ほかにも、放射線療法を行う際に体を固定するための固定具を作成することがあります。

3) 治療計画決定

撮影したCT画像を元に、専用のコンピューターを使って治療計画を立てます。がんがある部分に十分な量の放射線が照射可能で、逆に、正常な組織や臓器に当たる放射線が基準内に収まるように計画を決定します。

4) 放射線照射

放射線治療の体位をとった後、がんの位置を確認するために画像撮影を行い、誤差を補正した後、照射を開始します。実際に放射線が照射される時間は数分ですが、着替えや準備を含めて10~20分ほどかかります。

5) 経過観察

治療の結果だけでなく、副作用の有無も確認します。放射線療法による副作用は、治療後数ヶ月から数年後に現れることもあるため、定期的な診察が必要です。

放射線療法のスケジュール

放射線療法は、分割して行われます。実際には、放射線治療を週に5回行うことが多く、これを6~7週間ほど続けます。
放射線を分割して照射する理由は、照射した範囲内にある正常細胞へのダメージを最小限に抑えつつ、照射した範囲にあるがん細胞を減少させることができるからです。

放射線療法の副作用

放射線療法による副作用には、治療直後に起こるものと、しばらく経ってから起こるものがあります。

1) 治療直後の副作用

頻尿、排尿時痛、下痢、放射線皮膚炎(皮膚が日焼けのような状態になる)などがあります。

2) しばらく経ってから現れる副作用

直腸出血、小腸出血、慢性的な頻尿・排尿障害、膀胱出血などが起こることがあります。

監修医師

堀江 重郎 Shigeo Horie

順天堂大学大学院泌尿器外科学 主任教授
順天堂大学附属順天堂医院 泌尿器科長
専門分野:泌尿器がん(前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌)の手術・薬物治療、男性更年期障害、性機能障害、性腺機能低下症、LOH症候群

専門医・認定医:
日本泌尿器科学会指導医、日本腎臓学会指導医、日本癌治療学会暫定教育医、日本内視鏡外科学会腹腔鏡技術認定医

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


北村 香介 Kousuke Kitamura

順天堂大学附属練間病院 泌尿器科 准教授
専門分野:泌尿器悪性腫瘍、ロボット手術、腹腔鏡手術、尿路性器感染症

専門医・認定医:
日本泌尿器科学会 認定専門医、日本泌尿器科学会 指導医、日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡手術認定医、日本がん治療認定医機構 専門医、ロボット外科学会 国内A級認定、ロボット外科学会 国際B級認定、インテュイティブサージカル da Vinci Certificate

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。


家田 健史 Takeshi Ieda

東京臨海病院 泌尿器科
専門分野:膀胱腫瘍・尿路感染症

専門医・認定医:
日本泌尿器学会専門医・指導医 日本がん治療学会認定医、Certificate of Da Vinci System Training、ぼうこう又は直腸障害の診断指定医、ICDインフェクションコントロールドクター認定、内分泌代謝科(泌尿器科)専門医、医学博士

*本監修は、医学的な内容を対象としています。サイト内に掲載されている患者の悩みなどは含まれていません。

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