「緩和ケア」は進行したがんの患者さんが受けるもの、というイメージがあるかもしれません。しかし、それは正しくありません。
2007年に決定した「がん対策推進基本計画」では、「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」を重点的な課題の一つとして取り上げています。「緩和ケア」は、乳がんの診断を受けたときから受けることができるのです。
「緩和ケア」は、からだや心のつらさをやわらげるだけでなく、療養や社会生活の問題解決をサポートすることも目指します。つらさを抱えたままでは、治療に前向きに取り組むことが難しくなります。がんの診断を受けた後つらさを感じたときには、がまんしたり、遠慮したりすることなく、医師や看護師などに、自分のつらさを伝えましょう。
「緩和ケア」は 治療に前向きに取り組む力になる
1.体に現れるつらい症状が緩和される
→痛み、吐き気、嘔吐、だるさなどの症状が緩和されると、治療に取り組むエネルギーが得られます。
2.心のつらさをやわらげるためのサポートも受けることができる
→不安や心配をやわらげることができると、心理的なエネルギーをロスすることなく、治療に向けることができます。
また、患者さんだけでなくご家族もサポートを受けられます。ご家族が心のつらさを感じているときに緩和ケアを活用すれば、患者さんを支える力を取り戻すことができます。
「緩和ケア」で痛み以外の体のつらさも緩和できる
乳がんの治療を受けると、痛み以外にも、以下のような症状が現れることがあります。こうした症状のつらさをやわらげるためにも、緩和ケアを受けることができます。
・食欲がない ・吐き気がする ・体がだるい ・何もする気がしないなど
このような症状があるときは、医師や看護師、そのほかの病院内のスタッフに、まずつらさを感じていることを伝えてください。緩和ケアには、つらさをやわらげるための、さまざまな方法があります。「つらさを伝えてもしょうがない」と思わず、また、「こんな、ささいなことで申し訳ない」と遠慮せず、つらさを伝えてください。
痛みをやわらげる方法はいろいろある
痛みをやわらげるために使われる薬には、痛みの程度に応じて、また、乳がんのステージ(病期)に応じて、さまざまな種類があります。医師が患者さんの状態に応じて処方します。
痛みが続くと、治療を前向きに受ける力が失われるだけでなく、日々の生活がつらくなってしまいます。痛みがあるときは、がまんすることなく、医師や看護師、そのほかの病院内のスタッフに、痛みがあることを伝えてください。
相談したいのに主治医は忙しそう どうすればいい?
1.まずは看護師に相談してみる
乳がんの患者さんの不安を軽減するための面接は、保険制度の中で、医師または看護師の仕事として位置づけられ、報酬も定められています。名称は「がん患者指導管理料」と言います。主治医に時間をとってもらうように依頼するのが難しいようであれば、まず担当の看護師に相談するという方法があります。相談したい内容を伝えれば、必要に応じて医師につないでもらえます。
2.がん相談支援センターを活用する
がん相談支援センターは、がんに関する相談を受けつける窓口で、がんについて詳しい看護師などが対応しています。がん相談窓口支援センターは、全国の「がん診療連携拠点病院」や「地域がん診療病院」に設置されていて、設置されている病院以外とは別の医療機関で治療を受けている人も利用できます。
がん相談支援センターがある医療機関は、国立がん研究センターの「がん情報サービス」の「がん相談支援センターを探す」から検索できます。
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/supportcenter_search.html