PSAが基準値を超えた場合、泌尿器科を受診することは大切なことです。では、実際に泌尿器科を受診すると、どのような検査を受けるのでしょう?
最初に行われるのは、触診・エコー検査・MRI検査などです。
その結果、前立腺がんの疑いがある場合は、精密検査を受けることになります。精密検査の内容は、MRI検査(最初に行っていない場合のみ)と前立腺の組織を調べる「生検」、「骨シンチグラフィー」などです。
これらすべての検査結果を総合的に判断して確定診断となります。
STEP1 泌尿器科で行われる検査
PSA検査で陽性でも、実際には前立腺がんではない場合があります。また、前立腺がん以外の病気(前立腺肥大症など)のケースもあります。そこで問診に加えて、触診、エコー検査、MRI検査などを行って、前立腺の状態を詳しく調べます。
1.触診
前立腺の硬さに異常がないかを確認する検査です。前立腺は直腸の真上に位置しているので、肛門から指を入れて直腸の壁面を軽く押すと、前立腺の状態を確認できます。
正常な前立腺には弾力性があるのですが、前立腺がんになるとその部分が硬くなります。直腸の壁面を触ることで、硬くなっていることが確認された場合、がんの可能性があることがわかります。
ただし、直腸の壁面をとおして触ることができない部分にがんがある場合、また、がんの大きさが小さい場合には、触診では確認できません。
触診で確認する前立腺の硬さとは?
正常な前立腺の硬さは母指球(親指の付け根のふくらんだ部分)の感触に似ている
前立腺がんの部分を触ると、親指の関節の部分を触ったような硬さを感じる
2.超音波検査(エコー)
肛門からプローブを直腸に挿入して検査を行います。プローブは超音波を発信する棒状の装置で、発信された超音波は体内の臓器などに反射して戻ってきます。これを受信して画像化することで、前立腺内部の様子も観察できます。
このように超音波検査は「超音波の反射」を利用しているので、「エコー」とも呼ばれています。
プローブの外観、これを肛門に挿入して前立腺の状態を調べる
プローブを肛門に挿入することで、前立腺のすぐ近くから検査できるので、前立腺の状態を正確にチェックできる
がんの部分は、黒い影として表示される。ほかにも、前立腺の形が鮮明でない場合や形が左右対称でない場合などにがんが疑われる
3.MRI検査
MRIはMagnetic Resonance Imagingの略で「核磁気共鳴画像」と訳されています。エックス線を使用せず,強い磁石から発生する電磁波を使って体内の状態を確認できます。
STEP2 前立腺がんの精密検査
1.前立腺の組織を調べる「生検」
生検は、前立腺の組織の一部を採り、顕微鏡を使ってがん組織の有無を確認する検査です。
がん組織が見つかったときには、その組織構造を分類することで、「悪性度」(“グリソンスコア[Gleason score]”といわれています)を判定します。「悪性度」の情報は、確定診断の後に行われる治療方針を決める際に大きな役割を果たします。
2.全身の状態を調べる「骨シンチグラフィー検査」
前立腺がんは骨に転移しやすい性質があります。そのため前立腺がんの転移が疑われる場合には、骨シンチグラフィー検査も行います。
骨に転移が起こると骨の細胞が破壊されるのですが、それが起きているかを、シンチグラフィー検査によって確認できます。